「希望の部署ではないのでやる気が出ません」人事もあきれた「入社1カ月で号泣→退職」した若手社員の言い分
■「新人がすぐに辞める現象」は増えるかもしれない 就職した新社会人たちが早速退職したり転職活動を始めたりしてしまうこの現象。私を含め上世代の社員からすると、なんとも言えない気持ちになってしまいます。 就職事情は売り手市場だからこそ、次も見つかると若者たちは考えるのでしょうか。もしくは、最近の新入社員たちはSNSのアカウントも複数匿名で持ち、嫌になったらアカウントリセットという環境で育ってきた“リセット世代”であることが影響しているのでしょうか。それとも、新型コロナ感染症による社会的ロックダウンの中、大学生活のほとんどを在宅学習で過ごしたことが、社会性の構築という人格形成に影響を及ぼしているのでしょうか。 産業医の私も、まだその答えはわかりません。しかし、会社と上世代は、今後このようなケースが増える可能性があることを覚悟した方がよさそうです。どの会社の企業文化にも、合う人と合わない人もいるわけで、去った人たちは理由はともかく相性が合わなかったのです。 ■「褒めて所属感を高める」方法も違うかもしれない では、残ってほしいと思える人材には、どうすればいいのでしょうか。この答えも私はわからなくなってきています。わかっているのは、「仕事は背中を見て覚えろ」というスタンスは全くもって時代遅れであることです。褒めることができる点を見つけて褒めて存在を承認し、会社(部署)での所属感・連帯感(エンゲージメント)を高めるという方法も、もはや違うのかもしれません。 皆様の会社の新入社員たちは、新社会人生活にそろそろ慣れてきた頃でしょうか。また、入社2年目の昨年の新入社員たちは、よき先輩として活躍できていますでしょうか。 日々の産業医面談の中で、この答えが見えてくることを願ってやみません。その時はここで共有させていただきます。 ---------- 武神 健之(たけがみ・けんじ) 医師 医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。ドイツ銀行グループ、バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ、ムーディーズ、ソシエテジェネラル、フォルクスワーゲングループ、BMWグループ、エリクソンジャパン、テンプル大学日本校、アドビージャパン、テスラ、S&Pといった大手外資系企業を中心に、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。2014年6月には、一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、「不安とストレスに上手に対処するための技術」、「落ち込まないための手法」などを説いている。著書に、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』や『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』などがある。公式サイト ----------
医師 武神 健之