阪神最後の本塁打王は?チーム別個人タイトル獲得事情
ここまでで投打の12部門を紹介したが、次に記者投票で決まるMVP、新人王と選考委員によって選出される沢村賞の状況をみていきたい(表5)。野球選手としての最高の目標の1つでもあるMVPを最も獲得しているチームはやはり巨人だった。ここも王と長嶋の2人で14回の獲得回数を稼いでいる。ヤクルトは7人で8回の獲得と目立つ数字ではないがこのうち4回、4人は外国人選手だった。 これまでMVPを獲得した外国人選手は9人で、約半数がヤクルトの外国人選手ということになる。さらに巨人で2度MVPに輝いたアレックス・ラミレスも最初に入団したチームはヤクルトなので、その外国人選手発掘力は相当なものだといえるだろう。沢村賞は1988年までセ・リーグの投手のみが選考対象だったためパ・リーグのチームの獲得回数は少ない。日本ハムは2007年のダルビッシュ有、オリックスは2014年の金子千尋が初めて獲得、これで残る沢村賞未獲得チームはロッテだけとなった。
最後に各部門のタイトル獲得から最も遠ざかっているチームを紹介したい(表6)。打撃部門で最も遠ざかっているチームが阪神とロッテで、阪神は最後の本塁打王が1986年のバース、ロッテは最後の本塁打王と最高出塁率選手が同じく1986年の落合博満だ。2人は同年のセとパの三冠王、ともにチーム史に残る大打者以来、本塁打王が出ていないというのは不思議な偶然である。 投手部門では先にも挙げた勝率と中継ぎ部門で広島が未獲得、広島は最多セーブも1991年の大野豊以来輩出できていない。本塁打王から遠ざかるロッテはMVPも同年の落合以来誕生していない。日本一となった2005年、2010年もMVPは他チームの選手だった。そもそもMVPは年間の勝率1位チームから選出されることが多いが、ロッテが最後に勝率で1位となったのは1974年が最後(2005年は勝率では2位)で、最も勝率年間1位から遠ざかっているチームでもある。 DeNAはセ・リーグの球団では最も沢村賞から遠ざかっており、最後の獲得は1983年の遠藤一彦である。DeNAは最多勝が1993年の野村弘樹、防御率は1992年の盛田幸妃が最後と先発投手の主要なタイトルを長らく獲得できていない。 (株)日刊編集センター