阪神最後の本塁打王は?チーム別個人タイトル獲得事情
プロ野球ファンにとってペナントレースの行方とともに気になるのが打者や投手の個人タイトルの行方だろう。贔屓チームの選手がタイトルを獲得するのはうれしいものだ。さてこの個人タイトル、これまでの獲得者の所属チームに注目するとチームごとに得意な部門、苦手な部門があることがみえてくる。 今回は現在表彰の対象である打者6部門(首位打者、最多本塁打、最多打点、最多盗塁、最高出塁率、最多安打)と投手6部門(最優秀防御率、最多勝利、最多奪三振、勝率一位、最多セーブ、最優秀中継ぎ)に加え、最優秀選手(MVP)、最優秀新人選手、沢村賞について、2リーグ制となった1950年以降の66シーズンの獲得者を調査、それを所属チーム別に集計を行った。以下ではその結果をご紹介していきたい。 なお集計の対象は連盟の表彰対象であったシーズンの獲得者とした。また最多セーブは1976年(パ・リーグは1977年)から2004年の間は連盟の表彰対象であった最優秀救援投手(セーブポイントが対象)の受賞者を集計の対象としている。そのほかの部門の連盟の表彰対象だったシーズンは表の注釈をご参照いただきたい。
まずセ・リーグのチーム別打撃部門タイトル獲得回数が表1だ。いわゆる「三冠」である首位打者、最多本塁打、最多打点の3部門ではいずれも巨人の数字が群を抜いている。とくに打点では66シーズン中29回と4割を超える獲得率になった。これはもちろん巨人の誇る2人のレジェンド、王貞治と長嶋茂雄の貢献が大きい。この3部門で2人が獲得したタイトルの合計は46とチームの総計である76回の約60%を占めている。 ただこの2人を除いても巨人から出た首位打者は8人、本塁打王は4人、打点王は7人と他球団並みの数字が残っている。三冠と最高出塁率では巨人が席巻してきたセ・リーグだが、最多盗塁では広島が獲得回数、人数ともに1位となった。高橋慶彦、野村謙二郎、緒方孝一と3度タイトルに輝いた選手を3人も輩出している。広島球団の伝統として「機動力野球」が挙げられることが多いのはこういった実績があってのことだろう。 パ・リーグ(表2)では部門ごとにチームの特色があらわれた。西武は直近8年間で6度本塁打王を獲得している中村剛也の存在が大きく最多本塁打部門でトップ、13年連続盗塁王という大記録を持つ福本豊がいたオリックス(当時阪急)は最多盗塁を12球団でも最多の24回獲得している。日本ハムは2012年までの63シーズンで一度も盗塁王を輩出したことがなかったが、2013年に陽岱鋼がチーム初の盗塁王となると、そこから西川遥輝、中島卓也と3年連続で盗塁王を誕生させている。