松重豊、若いスタッフとの距離に悩んだ時期
松重豊が16日、都内で行われた『劇映画 孤独のグルメ』(2025年1月10日公開)の完成披露舞台あいさつに内田有紀、磯村勇斗、杏、オダギリジョーと共に出席し「集大成になっています。この映画にすべてかけています」と熱い思いを語っていた。 【ほぼトークノーカット】松重豊、内田有紀、磯村勇斗、杏、オダギリジョーが登壇! 本作は、原作・久住昌之、作画・谷口ジローによる漫画を原作にしたドラマ「孤独のグルメ」シリーズの劇場版。輸入雑貨商を営む井之頭五郎(松重)が、かつての恋人の娘である松尾千秋(杏)からの連絡を受け、究極のスープを探す旅に出る。
本作で主演のほか、監督、脚本も務める松重。「構想の段階からだと2年半ぐらいの歳月が経ちました。長い道のりでしたが、ようやく到達点が間もなくやってきます」と感慨深い表情を浮かると「今回とても素敵な皆さんに来ていただきました。自分の書いたセリフを俳優の皆さんがしゃべると、こんなにも豊かになるんだと、この仕事をしていて初めて気づきました。皆さんの顔を見ていてひとりじゃないんだと思いました」と“孤独ではない”クリエイティブだったことを強調していた。
本作は、第29回釜山国際映画祭オープンシネマ部門に出品された。松重は現地に赴いたというと「オープンシネマでは5000人の会場が埋まっていた」と熱気に包まれていたことを明かし「字幕なのですが、笑いが渦のように起こって、伝わっているんだなと非常に嬉しかった」と振り返っていた。
ドラマの放送から12年というロングシリーズ。松重は「最初のころは、プロデューサーも監督も僕よりも年上だったのですが、そういう方々のなかには亡くなってしまった方や卒業された方もいて、いまはスタッフが若くなりました」と変化を述べると「12年間でコンプライアンスの在り方も変わり、若い人たちの輪のなかに溶け込んだ方がいいのか、距離を置いた方がいいのか……ちょっと分かりかねるときもありました」と監督業ならではのセンシティブな部分にも触れていた。
そんな松重だが「この映画のサブタイトルは“究極のスープを求めて”。スープ作りもそうですが、映画作りにも妥協はできない」と断言すると「おいしいスープを作るために、スタッフ全員が身を粉にし、キャストも素晴らしい演技で、ちょうどいい食べごろになっています」とアピール。さらに「『孤独のグルメ』の集大成になっています。この映画にすべてをかけています」と熱い思いを吐露していた。(磯部正和)