《記者コラム》日本ブラジル新時代のカギはエネルギー保障=大陸横断ルート建設に日本勢も参加を
間違いなく、南米全体への経済的インパクトは大きい。シモーネ・テベテ企画予算相の発表によれば、総額100億ドルの資金を確保している。 本コラムでも、23年5月16日付「実現するか南米大陸横断高速道=メルコスルは一帯一路に入る?」(3)で書いた。それが、想像以上に本格的な事業計画として発表された形だ。大陸横断ルート建設を成し遂げたら、ルーラ大統領は歴史に名を残すことになる。 注目すべきは、以前ならこのような大陸横断ルート建設計画を発表すると、必ず環境団体が批判を繰り広げたが、今回はそれがほぼないことだ。アンデス山脈やアマゾンのど真ん中に道路や鉄道を通す話なのに、一番怒りそうなマリーナ・シルヴァ環境・気候変動相やソニア・グアジャジャラ先住民族相が何も言わない。 この辺が、左派リーダーだが開発論者のルーラの真骨頂かもしれない。表向きには「民主主義」を謳いながら、実は中国やロシア、ベネズエラなど独裁国家と仲良くやっている政治スタイルの彼らしい政治手法だ。 確かに、このルートが開かれて一番裨益するのは中国かも。だが日本を含めたアジア全体にも利益がある。ならば、日本勢もODAを使って日本企業がルート建設に参加したらどうか。
中国建設大手がインフラ工事に続々参入
中国国内の建設業界が冷え込む中、同国の建設大手である中国鉄建(CRCC)がブラジルのインフラ投資プロジェクトに参画しており、今年4月に予定されているサンパウロ州沿岸部の高速道214キロ分とミナス・ジェライス州~リオ州間の高速道(BR‐040)のコンセッション入札に参加することが明らかになったと10日付ヴァロール紙(5)が報じた。 2件のプロジェクトを合わせると、今後30年間で120億レアル(約3600億円)以上の投資が見込まれる。これは、中国南東部深セン市で10日から開催された「ブラジル・中国ミーティング」で、中国鉄建のデン・ヨン社長が明らかにした。同社は、ブラジル政府の再工業化計画やインフラ整備は大きな投資の機会と見ており、既にバイア州サルバドール市とイタパリカ島を結ぶ全長12・4キロもある大橋の建設(6)を担当している。 中国勢は着々とブラジル国内のインフラ事業に食い込んできている。