いまだ犯人逮捕されず…実際に銀行の支店で検証した「三菱UFJ元行員が他人の貸金庫を勝手に開けた犯行の手口」
厳重に施錠されているはずの貸金庫で、どのような手口なら他人の貸金庫から金品を気づかれずに持ち出すことができたのか。前編記事【三菱UFJ銀行の貸金庫に実際に行ってみて考えた「いまだに犯人が捕まらないワケ」】に続き、ここまでの調査を元に推理してみたい。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 全ての支店の貸金庫が同じ仕組みなかは不明だが、犯行の舞台の支店も同じ構造という前提で検証してみよう。
管理体制の不備
犯人が銀行の保管するスペアキーを自由に持ち出せたとしても、利用者が設定した暗証番号までは知るはずがない。銀行員が金庫室に入るための暗証番号があり、それを使ったのだろう。 次に貸金庫室に入ること自体は職務上、怪しまれなかったとしても、契約者のボックスを開ける際に必要なメモリーキーを使うには暗証番号とカードキーがなければならない。カードキーと連動する暗証番号があれば、メモリーキーを使えるのかもしれないが、これは不明だ。いずれにしても、メモリーキーを取り出した際の記録も残っているはずではないか。 だとすれば、お客が貸金庫室にいない時に誰かが銀行の保管するカードキーで貸金庫に入り、メモリーキーを取り出していれば、これは不自然だと誰かが気づくだろう。気づかなかったとすれば、管理体制に問題があったと言わざるを得ない気がする。 そもそも、顧客のボックスまでたどり着けたとしても、お客のボックスを開けて中身を取り出せば、その様子が防犯カメラに残っているのではないのか。
監視カメラの映像は?
貴重品を入れるボックスはかなりの重さがあり、ボックスを抱えた状態で立ったまま蓋を開けて中身を物色するのは容易ではない。そのため、利用者は取り出したボックスを抱えて、鍵付きの個室(畳一畳程度)に入って、中身の出し入れや確認作業を行うのだが、仮に犯人もこうしていれば、監視カメラに記録されているだろう。 なにかの理由で犯行の様子を捉えた映像が残っていないとすれば、それこそ大問題だ。 そういえば、記者会見で銀行側は既に被害者の補償作業に入っていると語っていた。金品を盗んだのは行員で、銀行の組織的犯罪でもないのに補償するのは不思議に感じていたが、銀行自身も自らの管理体制にも責任があると感じているかもしれない。 ここまで調査で言えることは、外部から第三者が貸金庫から中身を盗み出すことは、まず不可能ということだ。たまたまカードキーを拾った第三者がいたとしても、暗証番号がわからなければ、金庫室に入ることすらできない。 逆に言えば、貸金庫の中身を盗むことが可能なのは、銀行関係者しかいないとも言える。ただし、金庫室に入ることは出来ても、契約者が借りている個別のボックスを開けるためには、専用の解除鍵がなければならい。 実は最大の疑問はここからだ。