「防げたシーンはたくさんあった」鈴木彩艶は猛批判を浴びたアジアカップで何を感じていたのか。前を向く守護神が“3週間後の本音”を明かした【現地発】
先輩・西川からの熱いエールには「勇気づけられたし、嬉しかった」
アジアカップから3週間ほど経った。ベルギーに戻ってから鈴木は3試合プレーし、1−0の勝利を2度モノにしている。カタールの地で批判の集中砲火を浴びた21歳は、よりタフになって戦っている。 「あの時期は無失点(ゲーム)をまず達成できなかった。キーパーは失点数を減らすことが一番。アジアカップの振り返りとして、(STVVに戻ってきてから)攻撃よりまず守備でやらせないことに重きを置いて取り組んできました。ベルギーに帰ってきてから1試合目が失点0。2試合目に4失点してしまいましたが、今日は失点0にこだわってプレーすることができました。これを続けていきたい」 それにしてもメディア、ファンの声が酷すぎた。メンタルは大丈夫だったろうか? 「キーパーとしてミスをたくさんしましたし、いろいろな声があるのは受け入れなきゃいけない。その中でも、日本代表の守護者になるために、プレーでしっかりと見せないといけない。振り返ると、やっぱり自分ができることがたくさんあったので、自分の修正点に重きを置いて考えた。自分が防げたなっていうシーンはたくさんありました。ああいう舞台に戻れるように、しっかりとこのチームで活躍したいなと思います」 渦中の鈴木に対し、浦和レッズのGK西川周作はXに「GKチームで応援しているよ。大丈夫。GKにしかわからない事たっくさんある」などと熱いメッセージをポストした。先輩GKの励ましははさぞかし嬉しかったのでは? 「そうですね。共にプレーしていた先輩ですし、その選手から声をかけてもらって、自分も勇気づけられましたし、本当に嬉しかったです」 昨年末、STVVのトルステン・フィンク監督は鈴木について「GKは試合に出て失敗を繰り返して成長するもの。ザイオンもそう」と言っていた。鈴木自身、フィンク監督から日頃言われているのではないだろうか? 「はい。(STVVは)攻撃的にビルドアップするサッカーなので、そこにトライしています。今日も自分のパススタートで得点に繋がりました。逆にそれが失点につながることもありますけど、監督はそこに対して『やっぱり得点になることもあるし、失敗をすることもあるだろう。どんどんトライしろ』ということを常に言ってくれているので、自分は思い切ってプレーできていると思います」 ビルドアップでチームの決勝点に絡み、守備ではビッグセーブでウェステルローを封じ込んだ鈴木に、地元のファンは「まだ不安定なところもあるが、ポテンシャルは間違いない。すぐにSTVVからステップアップしていくだろう」とエールを贈っていた。 取材・文●中田 徹
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