初代門司駅遺構、北九州市が取り壊し着手 「保存不十分」反発も
北九州市は28日、同市門司区で昨年9月以降に出土した明治期の「初代門司駅」関連遺構の取り壊しに着手した。公共施設を建設するための土地の造成工事の一環。市は遺構の一部を現地に埋め戻して保存する方針だが、「保存箇所が不十分」などと反発も出ている。 【写真】仮囲いの中で遺構の取り壊しが始まった。上は九州鉄道記念館=2024年11月28日午前10時27分、北九州市門司区、小島達也撮影 取り壊しは午前9時ごろ始まり、遺構の発掘現場の端で出土した大正から昭和にかけての倉庫や水路の跡とみられる場所を重機で掘り出した。 造成工事は来年3月下旬までの予定。学術団体や市民団体が「日本の近代化の象徴」と評価する機関車庫の基礎部分も、現地に保存したり、取り出して新施設で展示したりする一部を除き取り壊される。保存や取り出し箇所の詳細は未定で、市は周囲の取り壊しを進めながら検討するとしている。 遺構をめぐっては、世界遺産の認定などに関わるユネスコの諮問機関イコモス(本部・パリ)が今年9月、現地保存を求め「ヘリテージアラート」を発出。日本組織にあたる日本イコモス国内委員会は今月25日、保存箇所に遺構の本質的な価値が伝わる部分が含まれていないとして、再検討を要請する声明を出していた。副委員長の溝口孝司・九州大教授は「工事開始は非常に遺憾。まだとどまることはできるので、市に対し工事中断と、市民・専門家との協議開始を求める」と話した。(小島達也、興津洋樹)
朝日新聞社