今後のマンション価格はどうなる? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説【2024年7月版】
2024年5月度の首都圏新築マンション契約率は56.0%。前月の62.4%に続き、好不調の目安とされる70%を下回った。全国主要都市の地価上昇について触れながら、今月も在庫数や価格、契約率の推移など首都圏新築・中古マンション市況を解説し、注目のマンション「シティタワーズ板橋大山」も紹介していく。(不動産アナリスト・岡本郁雄) 最終期!晴海フラッグの価格と間取り公開中
地価LOOKレポートに見る今後のマンション市場の行方
「令和6年第1四半期地価LOOKレポート」によれば、平成19年の調査開始以降、初めて住宅地及び商業地の全地区において地価が上昇した。「地価LOOKレポート」とは、主要都市の高度利用地等の地区について、四半期ごとに地価動向を調整することにより、先行的な地価動向を明らかにするものだ。 地点数は限られるが、年単位で地価動向を公表する「公示地価(1月1日時点)」や「都道府県地価調査(7月1日時点)」と比べ、調査間隔が短く地価のトレンドを把握しやすい。 80地区すべての地価が上昇地価LOOKレポートで高い上昇が見られた6地区 80地区すべてで上昇し、横ばい0地区、下落0地区。変動率区分別に上昇した80地区を見ると、「上昇(3~6%)」が6地区、「上昇(0~3%)」が74地区となっている。 首都圏では、「上昇(3~6%)」の地点は、銀座中央、歌舞伎町、中野駅周辺、みなとみらいの4地点。銀座中央は3四半期連続、歌舞伎町、中野駅周辺、みなとみらいの3地点は2四半期連続で「上昇(3~6%)」となった。銀座中央、歌舞伎町についてはインバウンド需要の回復、中野駅周辺は再開発による活性化期待、みなとみらいについては、大型アリーナやホテルの完成が地価上昇に寄与している。
今後のマンション価格はどうなる?
今後のマンション価格を予想する上で、留意したいのが用地取得から販売までは一定の期間を要するということだ。一般的に一定規模のある新築マンションの用地取得時期は、2年から3年程度前に行われているケースが多い。 近年、供給比率が高まっている再開発プロジェクトになるとさらに長期となる場合もある。少なくとも2年前と比べ現時点のほうが地価も工事費も上昇しており、原価ベースでは、用地取得時期が直近となる数年先のマンション価格のほうが高くなると推察できる。 一方、最終的に市場価格を決めるのは需要と供給のバランスだ。インフレによって実質的な所得が減少する中で、マンション販売価格が大きく上昇すれば需要が落ち込み調整局面に入る可能性もある。賃貸に住み続けることや価格上昇が限定的な新築戸建てを購入する選択肢もある。新築マンション契約率が2カ月連続で70%を下回ったのは、価格の上昇トレンドが続く中で物件の選別化が進んでいるということだろう。 物件の選別化は、中古市場も同様だ。新築マンション価格の上昇で、中古マンション市場も堅調だが、人気があるのは、築20年程度までの築年数の比較的浅いマンションだ。 公益財団法人東日本不動産流通機構発表の「2023年首都圏中古マンション築年数別成約動向」を見ると、築0~5年の中古マンションの首都圏成約平均価格は、7,077万円、成約㎡単価は112.55万円と新築マンションと遜色ない価格で成約している。 一方で、築31~35年のマンションは、成約平均価格が2,303万円。成約㎡単価は、39.94万円と大きく乖離(かいり)している。物件ごとに資産性は異なるが、1990年前後に竣工(しゅんこう)した新耐震基準のマンションであっても平均的な流通価格が安い点は留意したい。 需要面では、人口動向に目を向けてみよう。日本全体の人口が減る中で、東京都の人口は増加傾向が続いており、令和6年5月1日現在の人口は、推計で14,170,275人に。対前月比 37,189人の増加、対前年同月比 84,939人の増加と増加トレンドが続いている。 2024年5月の対前年同月比で、増加数が最も多い区は、中央区の8,002人。湾岸エリアの大規模マンション「HARUMI FLAG」の入居が始まったことも寄与している。なお、2位は板橋区の5,575人、3位は大田区の5,355人であり、都心回帰が進む中で東京23区への人口流入が継続している。 また、前年同月比較で神奈川県は6,665人の増加、埼玉県が1,033人の増加、千葉県は5,044人増加となっている。いずれも増加傾向だが、増加数は東京都と比べ小さい。