ゲームサイト編集長が語る 2023年ヒット作の共通点とゲーム作りの傾向
■2年前に発表された『スイカゲーム』がヒットしたワケ
続いて三代川さんが今年ヒットした作品に挙げたのは全世界で累計 約530万ダウンロードを記録している(12月25日時点 開発会社発表)スイカゲームです。ゲームは元々、ゲームメーカーではないAladdin Xが展開する、自宅で使う照明一体型のプロジェクター『popIn Aladdin』に内蔵されていたもので、箱の中で上から落ちてくるフルーツを積んでいくパズルゲームです。2021年12月に配信スタートした作品が今年になって大ヒットしました。 三代川:ヒットのきっかけっていうのは、人気の動画配信者の方が取り上げたところで、「何だこれ面白そうじゃん」というふうに視聴者も増えていきましたし、それを見た別の動画配信者の方が、「今度はじゃあ自分でやってみよう」と、どんどん動画配信者たちが拡散をしていった。(動画を見た人が)「じゃあ自分でもやってみようかな」というときに、価格が200円台でとても安いので、手に取りやすくて買ってしまうっていうのもあると思います。
■共通点は“ユーザー間での広がりが強かったゲーム”
今年ヒットした『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』と『スイカゲーム』の2作品にはある共通点が。 三代川:いわゆるSNSの拡散、動画による拡散、ネットミームだったりとか、そういったものを含めた、ユーザー間での広がりが強かったゲームとしての共通点があったと思います。『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、自分で木の板を組み合わせたり、車輪を組み合わせたりして移動手段を作ったり、もしくはそれを使って敵を倒したりできるんですけど、それがSNS上で動画で、「色んなロボットを作ってみました」とか、「謎の建築物を作ってみました」みたいなものでとてもバズる。いわゆるSNSで拡散される状況が生まれていて、その話題性も含めて大ヒットしたなという印象があります。
三代川:『スイカゲーム』は見た目のかわいらしさと取っつきやすさ、「自分でもできるんじゃないか」と思わせる敷居の低さがあると思うんですよね。(人がやっているのを見て)「自分だったらもっと右に置く」とか、「次にもう他の(フルーツ)が見えているんだからもうちょっと待てばいいじゃん」とか言いたくなる。「自分だったらこうするのに」という、やりたくなってしまうモチベーションを生み出しているのではないかなと思います。