回復へ科学的資源管理を 漁獲減少続くマガキガイ 報告義務化、小型採捕禁止を提言
■資源管理の提言 河合教授は奄美群島の漁業実態や流通の現状を踏まえ「漁の規制があまりない中、需要増、資源・漁獲量の低下、価格の高騰を引き起こしている」と強調。特定の卵と精子を用いることで、生産個体の遺伝的多様性が低くなる可能性がある種苗生産に否定的な考えを示し、資源管理策として▽漁獲サイズ▽禁漁区の設置▽禁漁期、漁獲上限の設定―などを挙げ「消費者を含め幅広い人に資源減の現状を知ってもらうことが重要。今のうちに対策を検討すれば、持続的資源利用は可能」と訴えた。 鳥居准教授は操業期間の短縮や漁獲量制限、研究機関と連携した漁期の調整などの資源管理に取り組む北海道厚岸(あっけし)町のアサリ漁業の事例を紹介。マガキガイの研究が進み、科学的知見が判明した将来的な管理案として▽殻長45~50ミリ以下の個体採捕禁止▽禁漁期の導入検討―を示し、「漁業権対象魚種のマガキガイは、漁協による適切な管理が必須。群島全体で統一したルール設定を」と呼び掛けた。 資源管理に関する専門家の提言を受け、奄水協の茂野拓真会長は「瀬戸内漁協でも行っている自主的な資源管理の取り組みを、全郡的に広げていくことが重要。研究機関と協力して得られた科学的知見を基に、各漁協の意見集約しながら統一的なルールを決定する必要がある」と述べた。