アングル:FOMC、2025年は造反票増加も メンバー交代でタカ派色強まる
Ann Saphir [19日 ロイター] - 2025年は米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ地区連銀総裁の顔ぶれが今年に比べてややタカ派寄りになるため、利下げの際に反対票が増える可能性が高まる。17―18日の会合ではクリーブランド地区連銀のハマック総裁が反対票を投じた。 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は18日、追加利下げを決めるにはインフレ率の低下が進む必要があり、委員らは今後もっと慎重になると述べ、既に1月の金利据え置きを示唆している。 年1回のFOMCメンバー入れ替えにより、追加利下げへの抵抗がわずかに強まるかもしれない。 TDセキュリティーズのアナリスト、オスカー・ムノズ氏は、新たな顔ぶれは投票権を失う顔ぶれに比べてタカ派寄りであるため「来年は造反票が増える可能性が出てくる」と語った。 投票権を持たない者を含め、12人の地区連銀総裁は全員、年8回のFOMCで協議に加わる。多くの総裁は、投票権の有無は協議における影響力に関係しないと述べている。 とは言え、FRB理事7人全員とニューヨーク連銀総裁は常に投票権を持つため、残る連銀総裁11人のうち、投票権があるのは4人だけだ。この4人が毎年入れ替わる。 今週の利下げ決定自体、際どいものだった。投票権を持たない地区連銀総裁を加えたFOMC参加者19人のうち4人は、今回の利下げが不適切だったと感じていることを示す金利見通しを出した。 ハマック総裁は来年、投票メンバーから外れ、後釜にはシカゴ地区連銀のグールズビー総裁が就く。グールズビー氏は、労働市場の不本意な減速を避けるため、来年は政策金利を相応に引き下げる必要があるとの考え方を持っており、ハマック氏よりもハト派寄りなのは間違いない。 しかしセントルイス地区連銀のムサレム総裁、カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁という、あと2人の新委員によって、2025年のFOMCはタカ派色が濃くなる。 2人と交代して投票メンバーから外れるのは、中道派とみられているアトランタ地区連銀のボスティック総裁とサンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁だ。 TDセキュリティーズのムノズ氏などのアナリストは、今回の利下げへの反対を示唆する金利見通しを出した4人の1人がムサレム氏だったと推測している。ほかにはハマック氏と、もう一人の投票権を持たない地区連銀総裁がそうした見通しを出し、それはシュミッド氏だった可能性さえあるという。 ムサレム、シュミッド両氏はともに、追加利下げにやや後ろ向きな姿勢を示していた。ムサレム氏は今月、利下げサイクルを休止する時が訪れたのかもしれないと述べた。 ムノズ氏らの推測では、4人のうち残る1人はボウマンFRB理事だったかもしれない。ボウマン氏は9月に0.50%ポイントの利下げに反対したが、今週のFOMCでは利下げに賛成した。 <来年は利下げ2回> ボストン地区連銀のコリンズ総裁は来年、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁に代わって投票権を持つFOMCメンバーとなる。 18日に更新されたドットチャートによると、FOMC委員の過半数は来年の利下げ回数を2回と予想している。これは、インフレ率が一段と低下するかどうかに加え、トランプ次期政権の関税政策などによる影響を見極めるために1月、あるいその先も金利を据え置くとの見方と整合的だ。 来年は月が進むにつれ、FOMC委員の意見が再び分かれる可能性がある。労働市場がインフレよりも急速に冷え込んだ場合には、なおさらだ。 FOMCメンバーのタカ派色が強まれば造反票が増える確率が高まるが、それで政策の決定内容が変わるわけではないかもしれない。 JPモルガンの主席米エコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「最終的にはパウエル氏の鶴の一声で政策の行方が決まりそうだ」と述べた。