老舗書店「有隣堂」オウンドメディア戦略 ファンづくりで生き残りへ
FNNプライムオンライン
本離れが進む中、書店が活路を見いだしたのは、情熱を伝える動画です。 神奈川県の老舗書店「有隣堂」が運営するYouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」。 ストレートなミミズクのツッコミと、出演者の素の面白さがじわりと人気となり、チャンネル登録者数は30万人を超えています。 有隣堂のファン: 大ファンです。“お偉いさん方”にも何のちゅうちょもなく「ドカーン」と言って。 見せるのは、“売りたいもの”より、その背景にある“熱量”。 有隣堂 広報・マーケティング部 渡邉郁課長: 有隣堂の「ファンづくり」を意識して、大目的にしていて、(本を)読まない方にも楽しんでもらえる動画を作りたい。 創業115年目を迎えた老舗書店「有隣堂」。 神奈川県、千葉県を中心に約40店舗を展開する神奈川・横浜市伊勢佐木町生まれの地方書店です。 この企業動画を始めたのは4年半前。 止まらない本離れにありました。 有隣堂 広報・マーケティング部 渡邉郁課長: 紙の部分は、どんどん縮小しているのもずっと続いていることで、それをどんどん変えていかないといけない。時代が変わっていく、書店業界もデジタル化に直面していて、自社のメディアを持つ「オウンドメディア」を持つことが必要なんじゃないかと。 書店員の専門性を掘り下げたり、話題の作家の一日に密着したりとネタはさまざま。 書店だからこそ知ることができるディープな世界を発信しています。 例えば、企業を業界単位で区切り、その関係性などを含めてまとめた業界地図など。 細かな見方を知ると、さらに面白いことが分かってきます。 書籍や商品、さらには企業の背景にある“ストーリー”に触れる。 こうした動画を通して高まってきたのが、ファンとのエンゲージメントです。 有隣堂のファン: YouTubeでよく拝見する方たちに実際お会いできたりすると、さらに身近な存在になって。 来店客が自由に書き込める冊子には、北海道や鳥取、韓国・ソウルの文字も。 店舗がない地域でも認知度が高まり、店舗への集客が強化されました。 有隣堂 商品企画部“文房具バイヤー”岡崎(崎は立つ崎)弘子さん: (動画出演に)初めはすごい不安と、どんなふうになるんだろうというのはあったが、今では「こんなものをお伝えしたい」ということも出てきたので、(従業員の)モチベーションが上がっている。 有隣堂 広報・マーケティング部 渡邉郁課長: 書店業界がだんだん縮小していく中で、従業員が成功体験を得ることが難しい。皆さんに喜んでいただけているのが、可視化されているのはうれしくて、もっと頑張ろうというふうに思える。 さらに、もう1つ、業種や競合関係を越えて動画の活用が広がっていました。 この日、収録に訪れたのは大手家電メーカー「シャープ」の担当者。 紹介するのは、増加する特殊詐欺被害を受けてシャープが注力する“防犯電話”。 なぜ書店の企業動画に出演しようと思ったのでしょうか。 シャープ ブランド戦略推進部・大嶋ひとみさん: 製品の裏に情熱をもって開発している社員がたくさんいるが、それこそがシャープの魅力なんじゃないかと。(MCの)ブッコロー氏の突っ込みコメントは、世間一般の方々と同じ意見が多いと思っていて、すごく視聴者としても共感できる。 有隣堂 広報・マーケティング部 渡邉郁課長: 登録者数が増えていく中で、「一緒に何かやりませんか」と声がけいただける。認めてもらっているのかなと。横浜の地方書店だが、チャンスがあって、そこに商機があれば逃さずにいきたい。
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