強制不妊訴訟、兵庫の2人が国と和解 「差別なくして」当事者の願い
旧優生保護法の下での不妊手術を巡り、兵庫県内に住む聴覚障害を持つ女性2人が国に損害賠償を求めた訴訟は24日、神戸地裁（冨上智子裁判長）で和解が成立した。原告側によると、国が2人に謝罪し、それぞれ約1650万円の和解金を支払うなどの内容という。 【写真】手話で喜びを伝える女性（手前）=2024年10月24日午後6時6分、神戸市中央区、原晟也撮影 原告は、神戸市と県内に住む、いずれも60代の女性2人。この日の記者会見で、神戸市の女性は「今後、差別をなくしてほしいと強く願っています」、県内の女性は「やっと和解が成立し、とてもうれしいです。2人とも勝訴に向けて頑張った2年間。すっきりした気持ちです」と、それぞれ手話で思いを語った。 訴状によると、神戸市の女性は1990年に長女を出産した際、帝王切開の手術前に説明もなく書類にサインを求められ、不妊手術を受けた。県内の女性も、81年に長女出産時に勝手に不妊手術をされたとしている。 2人は、障害を理由に不妊手術を強いられたのは違憲だとして昨年3月に提訴した。 国は、不法行為から20年過ぎると賠償請求権が消える「除斥期間」の適用を主張していたが、国の損害賠償責任を認めた7月の最高裁大法廷の判決を踏まえ、方針を転換した。（原晟也）
朝日新聞社
