「鍵を取りに行く手間をなくしたい」スマホアプリで解錠できる「スマート南京錠」…JR九州など採用
福岡市中央区の新興企業「KEYes」(キーズ)はスマートフォンの専用アプリで解錠できる「スマート南京錠」を2021年から販売している。鍵を紛失するリスクを減らせることなどから、施設の管理に活用するJR九州や九州電力などの企業で採用が広がっている。 【グラフ】福岡市の創業支援拠点利用者による創業件数
不動産会社の担当者が空室を案内する度に管理会社に物件の鍵を取りに行く手間をなくしたい――。システム開発などの事業を手がけていた野寄朋彦社長(48)が、不動産会社から相談を受け、ビジネスの可能性を感じて18年に共同で創業した。
一見すると一般的な南京錠だが、鍵穴はなく、スマホと近距離無線通信「ブルートゥース」でつないで解錠する。鍵の管理者が時間や場所を区切って解錠できるスマホを指定できる仕組みで、現場の担当者らが鍵を事務所などに取りに行く手間が省ける。解錠したスマホの記録が残るため、不正利用の防止にもつながる。
素材はアルミニウム合金などで価格は税別1万5000~2万1000円。利用できるスマホの台数などに応じて別途、サービス料がかかる。電池式で、電池切れが近づけば契約している企業に連絡する。
現在30~40社で導入され、採用は年々増加している。27年の株式上場を目指しており、野寄社長は「物理的な鍵をなくすことで企業の利便性を向上させながら、安全性向上や防犯対策の強化につなげたい」と話している。