北九州市の大規模火災、がれき撤去終わったが…更地の跡地に地権者20人「再建見通せない」
北九州市小倉北区の中心市街地で1月に起きた大規模火災で、がれきの撤去作業が28日、完了した。来月3日に発生から半年となるが、更地になった火災跡地は地権者が多く、どう再建していくかは不透明な状態だ。今後、地権者らが情報共有を目的とする勉強会を発足させ、一帯の復興へ歩みを進める。(山崎祥太) 【写真】高く積み重なったがれき周辺を行き交う人たち(1月)
「やっと撤去ができた。火災から半年、見るたびに悔しい思いをしてきた」
被災店舗の所有者らでがれき撤去に取り組む「魚町火災復旧対策会議」の会長で、陶器店代表の戸田和雄さん(75)は、ビルに囲まれた更地で心境を語った。
火災は1月3日に発生。同区魚町の飲食店街「鳥町食道街」などの36店舗、住宅1世帯を含む約2730平方メートルが焼損し、焼け跡には約2000トンのがれきが残された。本格的な撤去作業は4月上旬から約3か月続いた。約4000万円の撤去費用は北九州商工会議所などが集めた寄付金が充てられる。
市などによると、対策会議は7月にも総会を開いて解散し、新たに地権者らでつくる勉強会を発足させ、市や同商工会議所が関わりながら再建についての考えを共有し、跡地復興に向けた取り組みを進める。
ただ、跡地には約20人の地権者が存在し、一体的に建物を再建するには壁がある。既に被災店舗の一部は、別の場所で営業を再開しているほか、跡地の地権者の中には自分の土地で個別に建物を再建しようとする人もいるからだ。
4月に跡地から約200メートル離れたビルで居酒屋「うちょうてん」を再開させた代表の中石浩由さん(32)も地権者の一人。「(火災前の)鳥町食道街のような飲食店が立ち並ぶ場所になってほしいと思うが、いつ、どういうふうに再建できるのかは見通せない」と話す。
勉強会でも中心的な役割を担う予定の戸田さんは「地権者の意見を集めながら、なるべく早い時期に建物が建って商売できる形になるのが良い」と語った。
市の担当者は「再建は最終的に地権者の方々で決めてもらう。勉強会には専門家や市の各部署の担当者も関わり、復興をサポートしていきたい」と話している。