事業承継はこれからのビジネスチャンスたり得る?日本の「サーチファンド」先駆者に聞く
――現在、ジャパンブルズアイキャピタルが実際に行っている活動について教えてください。 洲崎「詳細はご説明できないのですが、最初の資金調達の段階は終了しておりまして、実際にオーナーの方にコンタクトを取るために、直接お電話したり手紙を送ったり、地道な作業も行っています。また『M&A仲介』の会社の方を通じてのコンタクトも取っています。 正直、資金調達よりもサーチ活動の方が10倍ぐらい大変だなと感じています。自分がオーナーだと思っていただけると分かりやすい思うのですが、『ジャパンブルズアイキャピタル合同会社』という聞いたことのない会社から突然の連絡が来て怪しく思わないはずないんですよね(笑)。通常数千社にアプローチして、話を聞いてもらえるのは1%程度の確率なのでかなり地道な作業ですが、話を聞いてもらうため手紙に顔写真を貼るなど、いろいろな工夫をしています。 そうした活動の中で実際にオーナーの方とお会いし、意見交換などができている会社もあります。2023年10月からサーチ活動を始めており、サーチ期間として最大2年間という設定をしているので、2025年9月まで残り1年という期間でサーチを完了する必要があります。 こうした活動をするとともに、中小企業の発展と若者が経営者として活躍できるビジネスモデルの確立も目指しています。そのためには、私たち自身が確実に1社を事業承継し、成長させた実績を作る必要があると考えています。 現在私たちはそのために承継する会社を探しているフェーズですが、実際に多くの会社にコンタクトを取っていると、経営者が高齢になり、次世代のための事業承継に悩まれている会社が多いと感じます。そのような現実がある中で一般的に優秀な方が多いとされる高学歴層が大手企業に就職してしまう現状を何とか打破できないかと考えています。 サーチファンドが一般的な選択肢になることで、優秀な若者が後継者不足に悩んでいる企業や成長可能性のある企業の事業承継を行う機運が高まり、経営者として中小企業の発展の一助となると思っています」 ――サーチする企業の基準とはどういったものになるのでしょうか? 洲崎「スタンフォード大学が提唱している 1)成長産業に身を置き競争優位性がある 2)多様な顧客基盤からの継続的な収益(Recurring Revenue)が見込める 3)EBITDA※2ベースで1億~3億円程度が見込める 4)大きな設備投資を必要としない という四つの基準を基本としつつ、さらに私たちが『経営のイメージがつくか』『成長戦略を描けるか』を特に重視しています。 さらに具体的にすると 1)業界として事業承継や業界再編が進んでいない 2)若い人材が入ってこず、DXなど新しい手法が取り入れられていない 3)経営は安定しているが、成長ができないでいる 4)固有の強みを持つが、生かし切れていない といった企業になります。こうした企業に若い経営者が入ってくることで、従来企業の持つ強みに加えて、新たな戦略・戦術の立案とその実施を行い、再成長を志すことが可能になる企業の承継を目指しています」