オーバーツーリズムに悩む韓国の村、「夜間の立ち入り制限」を実施へ 違反者は最大約1万1000円の罰金
韓国の伝統的な家屋が立ち並び、多くの観光客を魅了してきたソウルの北村韓屋村。だが近年はオーバーツーリズムに悩まされており、地元当局が打ち出したある対策が波紋を広げている。それは、夜間に限り観光客の村の一部への立ち入りを制限するというもの。11月から試験的に規制が導入され、違反者には罰金が科せられる。 この村は10年前にテレビ番組で有名になったが、現在は騒音やゴミの散乱、プライバシーの侵害などの問題に直面している。人口わずか6000人ほどの地域に、昨年だけで約600万人の観光客が訪れた。 11月より午後5時から午前10時まで、観光客は一部地域への立ち入りが制限され、違反者には最高10万韓国ウォン(約1万1000円)の罰金が科せられる。観光客の立ち入り制限は2025年3月に正式に施行される予定。 北村韓屋村がある鍾路区のチョン・ムンホン区長は、施行に先立ち行政は住民と協力していくと述べた。 チョン・ムンホン鍾路区長 「観光客がバランスよく訪れ、住民に大きな不便をかけないように努めている。韓国でこのような政策を実施するのは初めてなので、必要に応じて住民と緊密に協力し、調整していく」 地元当局は住民の権利と日常生活を守りたいと願っているが、すべての住民がこうした措置に同意しているわけではない。あるソウル市民の男性は、移動制限は韓国にふさわしくないと話す。 ソウル市民 「韓国は移動の自由がある国なので、罰金で規制するのは行き過ぎだ。指導を通じて観光文化を磨く方が良い」 一方、観光客の間ではこの規制をめぐって意見が分かれている。公道を歩くだけで罰金を科せられることに憤慨する人もいれば、住民の生活の質の重要性を認める人もいる。 賛成派 「ええ、完全に同意する。観光客が住民に対して無礼な態度を取るなら、それは許されるべきではなく、住民の平穏と健全な生活を保つための措置を講じるべきだ」 観光客と住民をどのように区別するのか、外国人に罰金を払わせるにはどうすればよいか、言語の壁にどう対処するかなど、規制導入に向けた課題も残されている。