リーバイス 傘下の老舗チノパンブランド、 ドッカーズ 。ルーツを守りながらクールなブランドを目指す
ドッカーズ(Dockers)がミレニアル世代とZ世代のターゲティングに取り組んでいる。その狙いは「カーキパンツをクールに」だ。 1986年にリーバイス(Levi Strauss & Co.)傘下のアパレルおよびアクセサリーブランドとして設立された同社は、今まさに数年がかりの近代化計画を進行中である。そんな同社がここ数年注力しているのが、25歳から35歳の新規顧客層の獲得だ。
ビンテージ感を大切に、スタイルを刷新
その最初の戦略のひとつは、着心地のいい生地を使ったミニマリストデザインのトップスとボトムスを発売することによって、ドッカーズのルーツであるビンテージ感を大切にすると同時に、スタイルを刷新させることだった。また同社は、eコマースと世界各国の実店舗展開を通してD2Cビジネスの拡大にも取り組んでいる。 こうした改革の一環として、同社は4月上旬、モデルのテイラー・ヒルやNBAのジョーダン・プール選手らをアンバサダーに起用した新マーケティングキャンペーン「リブ・オリジナル(Live Original)」を発表した。このキャンペーンの目玉は、何と言っても彼らアンバサダーであり、同社の代名詞であるカーキパンツに、スニーカーやデニム、ボタンダウンシャツといった定番アイテムを着こなしている。このキャンペーンはデジタル、ソーシャルメディア、店頭広告を組み合わせて展開予定だ。 こうしたマーケティング戦略が象徴するのは、カーキパンツという自社のルーツに忠実でありながら、いかにして若い世代にもアプローチを試みるかというドッカーズの姿勢だ。
若い世代にリーチして新たなポジションを確立
昨年同社CEOに就任したナタリー・マクレナン氏によれば、ブランドの改革をめざすこうした取り組みがはじまったのは、4年ほど前のことだったという。その目的は、ドッカーズの魅力をさらに高め、普段着にぴったりな流行りの服といえばドッカーズというポジションを確立することにある。 「ドッカーズとともに育った世代は、今でもドッカーズを愛してくれている」とマクレナン氏は語る。その一方で、同社が成長の可能性を見いだしているのは若い世代だ。この世代にリーチすべく、同社はさまざまな販売チャネルの開拓に力を入れている。「我々は卸売パートナーの開拓も進めているが、どこも大いに乗り気になってくれている」と同氏は言う。最近では、フリー・ピープル(Free People)がそのひとつだ。同時に、同社は自社D2Cサイトにも重点を置いて取り組んでいる。 海外展開やD2C展開など、複数のセグメントを成長させてビジネスを多様化させることもドッカーズの狙いだ。海外における販売は現在、売上の50%以上を占めており、その主な市場となっているのが南ヨーロッパやメキシコだ。今後数年のうちに新たな市場へ進出することも計画されている。 ドッカーズはこの1年のあいだに30店舗を新たにオープンし、その店舗数は現在100店舗に達している。マクレナン氏によれば、そのうち米国内にあるのは5店舗だけだという。実店舗拡大の中心は、南米、ヨーロッパ、そしてアジアの一部諸国だ。「D2Cは過去3年間で2桁の成長を達成している」と同氏は話す。 「我々が取り組んでいることの3つ目は、若い世代へのアピールだ。1980年代に誕生したドッカーズは、カーキパンツで一躍有名になった。『カジュアルフライデー(casual Fridays)』という言葉を生み出したのもドッカーズである」。