LINEで友人と険悪な仲に…50代女性の悩みに住職・名取芳彦さんがアドバイス
50代からの女性のための人生相談・197
読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は53歳女性の「LINEでのやりとりを機に、友人との仲がギクシャクしてしまった」というお悩みに、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く住職・名取芳彦さんが回答します。
53歳女性の「LINEで関係が悪化した友人との付き合い方」の相談
LINEでのやりとりをきっかけに、友人Aとの仲がギクシャクしています。 理由は、Aを含む友人4人のグループLINEで、私が病気をして手術をしたため私の話題が中心になることが度々あったからかと思います。私の話題で盛り上がるたび、Aが自分の話に流れを変えようとしたがっている気配を感じていたのですが、当時は特に気にしていませんでした。 その後、グループLINE上でAの動きがほとんどなくなったので、心配になって「忙しくなったの?」「体調でも壊したの?」と個人的に連絡をしてみたんです。 しかし、Aは私の言葉遣いが気に触ったようで、「そんな言われ方されたくない」と怒ってしまいました。謝ってその場は許してもらえましたが、それ以降、なんとなく溝を感じています。 グループLINEや他の友人にも相談しましたが、「同じことを言われても、私なら悪くは取らない」と言われています。 言葉の受け取り方は人それぞれかと思います。ですが、心配したつもりの言葉が悪い印象に取られてしまうのは、その友人との信頼関係の問題なのでしょうか。 悪く取られてしまうならば、その程度の仲だったのかと割り切っていいものでしょうか。 (みかちいさん・53歳)
名取さんの回答:信頼関係はたったひと言で壊れるもの
LINEのような文字だけのやりとりは、誤解されたり、言いすぎたりするなど、踏み板をいつ踏み抜いてもおかしくない、危うさのある橋を渡るようなものでもあります。 小説の会話であれば、その前後に発言した人の心情や、受け手の思いなどが筆者によって補足説明されますが、LINEで送信した言葉は、言葉としての意味しか持ちません。絵文字などで言葉に表情を持たせても、相手がこちらの思ったような受け取り方をしてくれるかはわかりません。 ですから私は、家族以外のLINEでは、つかず離れずの発信や反応しかしません。今のところは、それが“自分が傷ついたり、相手を傷つけたりしない”ための、私のSNS上での防衛策です。 4人の仲良しのうちの一人が病気をして手術すれば、それは大事件です。 ですから、その話題を中心に盛り上がったりするのは、仕方がないことだと思います。それがコミュニケーションの基本でしょう。 一方で、人には「自分に注意を向けてほしい」「自分を認めてほしい」「自分を褒めてほしい」「誰かの役に立ちたい」という4つの社会的欲求があると言われます。 Aさんは、日常生活で“私に注意を向けて”オーラを全開にしている人にウンザリしたことがあったのかもしれません。もしくは、誰も自分に注意を向けてくれないことへのモヤモヤが、頂点に達していたのかもしれません。 残念ながら、Aさんの心情は推測するしかありません。それでいいと思います。 無理に仲直りしようとしても、Aさんの思いを聞けば「あなたの受け取り方が悪い」と否定したくなるかもしれません。あるいは、「そう考えているなら仕方がない」とAさんを突き放すような言い方をしたくなるかもしれません。どちらも、火に油を注ぐようなものでしょう。