「映画の海」釜山国際映画祭が開幕…OTT映画の開幕作には反発も
開幕作はネットフリックス映画『戦と乱』 映画人「開幕作の象徴性を考慮すべき」
大衆性と進取性の間の岐路に立つ第29回釜山国際映画祭が2日、釜山海雲台区(プサン・ヘウンデグ)の映画の殿堂で開幕した。 今回の映画祭は、執行委員長と理事長が空席となった中で行われた昨年の混乱を収拾し、パク・クァンス理事長、パク・トシン、カン・スンア両副執行委員長体制での初開催となった。63カ国から出品された224本の映画が上映される。 最も目につく今年の特徴は、大衆性の強化だ。劇場公開作ではなくOTT映画が初めて開幕作に選定された。映画監督のパク・チャヌクが脚本と制作を担当したネットフリックス映画「戦と乱」(キム・サンマン監督)だ。カン・ドンウォン、パク・ジョンミン、チャ・スンウォンらが出演する時代劇だ。 映画祭側が先月「戦と乱」を開幕作とすることを発表した際、映画界の人々の反発は小さくなかった。コロナ禍以降のOTTの急成長と対照的に、映画館などの映画産業の回復が遅れる中、映画祭が積極的にOTT映画を受け入れることに対する批判だ。ソウル国際プライド映画祭の執行委員長を務める青年フィルムのキム・チョ・グァンス代表は、「開幕作の象徴性を考慮すべきだった」と遺憾の意を表明した。「神と共に」などを制作したリアライズピクチャーズのウォン・ドンヨン代表も、「いくら大衆性が重要だとしても、映画祭くらいは映画としての意味や価値を尊重し、広げていくのが自尊心ではないか」と指摘した。 映画祭側は、先月の開幕作の発表時に「観客がどれだけ楽しめるかが開幕作選定の重要な基準」だとして、「作品そのもので判断するのみで、OTTというメディアの特性は考慮すべき事項ではなく、今後もないだろう」と述べた。この日の開幕作記者会見でも、パク・トシン副執行委員長は、「面白くて観客に紹介したかったということ以外に大きな意味はない」と答えた。キム・サンマン監督は、「スクリーンではなく小さな画面で見るOTTなどの映画も、劇場上映作と異なる映画ではない」としながらも、「ただし、共同の経験としての劇場の価値は有効であり、そのために映画を作る人たちは新たな表現形式や技術的な努力をもう少し考えるべきだろう」と述べた。 ネットフリックスなどのOTT映画に対する世界の主要映画祭の立場は様々だ。カンヌ国際映画祭とベルリン国際映画祭は、開幕作やコンペティション部門などの主要部門ではOTT映画を上映しない。カンヌ国際映画祭は2017年、ポン・ジュノ監督のネットフリックス映画「オクジャ」とノア・バームバック監督の「マイヤーウィッツ家の人々」をコンペ部門に招待したが、フランス映画界が強く反発したことを受け、立場を変更した。ベネチア国際映画祭はネットフリックス映画「ローマ」に金獅子賞を授与するなど、世界3大映画祭の中で最も開かれているが、OTT映画も一定期間は劇場上映を行わなければ招待しないという原則を掲げている。 今回の釜山映画祭の主な上映作は、世界有数の映画祭ですでに受賞歴があったり話題になったりした作品が多い。今年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した「アノーラ」をはじめ、審査委員特別大賞受賞作「光として想像するすべて」、脚本賞受賞作「ザ・サブスタンス」や、サンダンス映画祭やベルリン映画祭の受賞作など、世界の主要映画祭の話題作が数多く上映される。映画祭を好んで訪れる観客にはすでに口コミで広がっている作品なので興行には役立つだろうが、釜山国際映画祭をアジア最高の権威を誇る映画祭に押し上げた新たなアジア映画の発掘と紹介は相対的に疎かになっていると指摘されている。インドネシア映画特別展を企画した昨年とは異なり、今年の特別企画はポルトガルの監督ミゲル・ゴメスの特別展、10代映画企画展、イ・ソンギュン遺稿展など。防弾少年団(BTS)のRMの2枚目のソロアルバム制作と入隊前のプライベートを記録したドキュメンタリー「RM:ライトピープル、ロングプレイス」は、チケット発売と同時に大規模な野外上映の席が完売となった。 映画祭は今月11日まで。会場は映画の殿堂とセンタムシティー周辺の7つの劇場、南浦洞(ナムポドン)のBIFF広場、水営区(スヨング)の民楽水辺公園など。 釜山/キム・ウンヒョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )