水テーマに兼六園巡る 観光協会が新ツアー 先人の知恵、技術をPR
●修学旅行ターゲットに 兼六園観光協会は4日、「水の物語」をテーマに園内を巡る新たなガイドツアーを開始した。園内の水の流れをたどり、自然の力を使った噴水や石製の水道管を紹介する内容で、参加者に先人の知恵と技術をPR。SDGs(持続可能な開発目標)の視点も取り入れた。名園の新たな魅力を伝える企画として、修学旅行や視察研修の誘致につなげたい考えだ。 初日は京都の旅館やホテル経営者ら21人の団体向けにツアーを実施した。参加者は兼六亭で岡田基義事務局長から園の歴史について説明を受けた後、ガイドの案内で園内を歩いた。 噴水前では高低差と水圧を利用し、ポンプなどの動力なしに噴き上がる仕組みを解説。金沢城に水を送る石製の水道管、辰巳用水からの水がたまる「沈砂池(ちんしゃち)」も見学した。 兼六園観光協会は、教育現場で探究型学習が重視されていることを受け、4年前からSDGsをテーマにしたツアーの開発に取り組んできた。この日、ガイドは雪づりに使われる「わら縄」を取り外した後、細かく刻んで堆肥として再利用していることを紹介し、「循環型の取り組みが息づいている」と伝えた。 同協会は「水」のほか、園内の植物が地域に果たす役割を考える「緑」、景観を支える庭師らに注目した「伝統の技」をテーマにしたツアーを用意している。 今後はインバウンド(訪日客)の取り込みも視野に入れており、岡田事務局長は「従来の名所解説型のガイドではなかなか伝わらない、園の魅力を継承する取り組みを紹介していきたい」と話した。