「隙を突いて、隙を与えない」。長崎総科大附が長崎準決勝を4-0で突破し、宿敵とのリベンジマッチへ
[6.6 インターハイ長崎県予選準決勝 長崎総合科学大附高 4-0 佐世保実高 長崎県立百花台公園 サッカー場] 【写真】「なんと!」「こんなかわい子ちゃんが…」ユニ姿で連番観戦した“美女2人”に脚光 長崎総科大附が後半の4発で決勝進出。令和6年度全国高校総体(インターハイ)長崎県予選準決勝が6日に雲仙市の長崎県立百花台公園 サッカー場で行われた。2年ぶりの全国大会出場を狙う長崎総合科学大附高が、FW坂本錠(3年)の3得点の活躍など4-0で佐世保実高に快勝。長崎総科大附は7日の決勝で国見高と戦う。 「隙を突いて、隙を与えない」。定方敏和監督が口にしていた勝利への鉄則。長崎総科大附は前半こそ相手ゴール前で慌ててしまう部分が散見したものの、守備面でほぼ隙を見せることなく、70分間を無失点で終えた。 指揮官が全幅の信頼を置く10番MF宇土尊琉主将(3年)は、「相手にもそんなビッグチャンスというチャンスは与えてなかったと思うんで、そういう部分では隙はあまり見せてないかなと思います。怪我人とかが帰ってきたんで、そういうところで総附らしくなってきてるんじゃないかなと思います」と頷いた。 佐世保実は準々決勝で県新人戦準優勝の第2シード、長崎日大高を1-0で撃破。序盤は硬さがあったものの、クリアを全て縦パスとして入れてくる長崎総科大附の攻撃をCB山口桜希(3年)らDF陣が身体を張って跳ね返す。そして、キープ力、スピード、身のこなしに秀でた10番FW横田翔栄(2年)や左足のキックなど存在感のある動きを見せていたMF小潟和輝主将(3年)を中心に反撃。ハイサイドまでボールを運び、クロスに結びつけるシーンもあった。 前半34分には横田の仕掛けから、最後は右でフリーのMF秋山勇斗(3年)が右足シュートを放つ。だが、長崎総科大附は空中戦含めて守備能力の高さが印象的なCB角田碧斗(3年)が、随所で相手の“危険人物”横田を封鎖。元FWの大型CB島田俐亜武(3年)やMF阿部紘斗(3年)が高さを発揮し、セカンドボールを宇土が回収し続けていた。 宇土は「1個1個の球際だったり、切り替えだったり、そういう部分で絶対負けないで前からしっかりと行くっていう決めていたんで、それが上手くハマったんで、相手にはチャンスはあまり与えてなかった」と振り返る。 だが、前半はシュート10本で無得点。定方監督は「決めるべきところで決めないのがウチの課題かなという風に思います。で、自分たちであたふたしてリズムが崩れる。ウチの未熟さです」と指摘する。前半3分に坂本の放ったループシュートが枠を外れると、FW高橋駿介(3年)のロングスローや抜け出し、左サイドから再三仕掛けていたMF松下昊稀(3年)とMF黒木秀彰(3年)のクロス、右SB河野泰良(1年)のロングフィードなどからゴール前のシーンを増やしていたもの、1点を奪えずにハーフタイムを迎えてしまう。 だが、後半開始直後に待望の1点を奪う。左サイドを突破した左SB田中泰平(3年、兄は宮崎MF田中純平)のクロスに高橋が飛び込むと、こぼれを坂本がゴールへ蹴り込み、先制点。佐世保実も横田やMF力岡佑樹(3年)の絡んだ攻撃からシュートへ持ち込む。だが、GKマガリェンス・アルナウド(3年)の守る長崎総科大附ゴールを脅かすことができない。 逆に長崎総科大附は16分、「キックは自信あります。ロングシュートだったり、周りを見えているところやゲームを落ち着かせるっていう部分も長所だと思ってるんで、そういう部分をもっと発揮していきたい」という宇土の正確な右CKから、ファーの坂本が距離の長いヘッドを決めて2-0。この後もサイド攻撃、セットプレーを交えて攻め続けると、31分には松下の左クロスを坂本が頭でゴールへ流し込む。坂本はハットトリック達成。35+5分にも、交代出場左SB小手川蓮(3年)の縦パスからFW竹崎優(1年)が左足ループシュートを決め、準決勝を突破した。 長崎総科大附は今年、選手権に出場した昨年ほど飛び抜けた選手がいないと言われている世代だ。だが、定方監督は団結力の高さをまとまりの良さ、一体感を評価。昨年は立ち上がりと終了間際の失点やセットプレーの失点という課題をなかなか改善できなかったが、今年は各選手が補完し合うような姿勢を見せている。 宇土は「キツイ時にどれだけみんなで盛り上げてやれるかや、去年よりも個が少し落ちると思うんで、その落ちる分、一体感っていうか、チーム力で補っていかないといけないなと思うんで、そういう部分を今年は意識しています」と説明。雪辱への思いもチームの原動力になっているという。 長崎総科大附は昨年度の選手権予選決勝で国見に3-1で勝利。「(だが)新人戦で、3-1でひっくり返されて、それが自分たち凄く悔しかったんで、それをバネに高総体やろうっていう風に決めていたんで、もうそれが力となっています」(宇土)。今年は県3冠、選手権での国立4強入りを掲げてスタートしたが、新人戦の敗戦で下方修正を強いられた。 7日の決勝はライバルとの再戦。宇土は「総附らしくハードワーク、球際、切り替えでまず負けないっていうのと、今日の前半の課題だったら決め切るところで決め切るだったり、そういうところで相手に隙を与えず、総附らしいサッカーをしていきたいなと思います」。挑戦者として挑み、“総附らしさ”を貫くだけ。そして、前回大会全国3位の国見を乗り越え、インターハイ切符を勝ち取る。