壁一面に縄文土器を並べた「南の縄文文化コーナー」＝霧島市の上野原縄文の森展示館

　鹿児島県霧島市の上野原縄文の森の展示館が５日、リニューアルオープンする。最新の調査や研究を基に、常設展示室の内容を刷新充実させた。約１万３０００～３０００年前の土器を壁一面に並べるなど、より縄文時代に特化した。 【写真】常設展示室前の床面に延びる「縄文タイムロード」＝霧島市の上野原縄文の森展示館

　国内最古級で最大規模の縄文集落跡が見つかった上野原遺跡（国指定史跡）を保存、活用するために２００２年に開園。縄文文化を学ぶ体験型歴史施設として親しまれてきたが、２２年がたち、最新の研究にそぐわない展示内容が目立つようになっていた。 　一例を挙げると、約９５００年前と考えられていた集落跡の年代は、最新の測定方法で調べ直すと、約１万６００年前のものと判明。従来よりも約１１００年もさかのぼることが示されていた。 　リニューアル工事は事業費約６５５１万円、９カ月かけた。見どころは「南の縄文文化コーナー」。幅１１メートル、高さ４．５メートルの壁面に、県内で出土した縄文土器９６点をずらりと飾った。約１万３５００年前の隆帯文土器＝志風頭（しかぜがしら）遺跡・南さつま市＝や２９００年前の浅鉢形土器＝萩ケ峰（はぎがみね）遺跡・鹿屋市＝など、縄文時代を草創期から晩期まで各年代を分けて紹介している。 　このほか奄美群島の遺物を紹介する「考古学ギャラリー」や、元県考古学学会長の故・河口貞徳氏が関わった代表的な遺跡調査の様子を伝えるコーナーも新設。常設展示室前の床面に延びる「縄文タイムロード」も最新情報を反映させた。

　縄文の森公式キャラクター「じょうもんくん」と記念撮影できるデジタルサイネージ（電子看板）も新たに設け、家族連れで楽しめる工夫を施す。 　５日はリニューアルイベントとして、午前１０時から記念セレモニーがあり、終了後には職員解説がある。５、６の両日は体験学習館で火おこし体験会もある。