ECB利下げ見通し、短期金融市場で裁定取引の好機生む-コメルツ銀
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)の利下げ見通しで、ユーロの短期金融市場では裁定取引の好機が生まれているとコメルツ銀行が指摘した。
同行の金利・クレジット調査責任者クリストフ・リーガー氏は、ECBの政策緩和が見込まれる6月を前に、欧州銀行間取引金利(EURIBOR)とユーロ短期金利(ESTR)のスプレッドが拡大すると予想。
スプレッドが10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に広がることを目標に、このペアをスワップとして取引することを同氏は勧めた。現時点のスプレッドは7bpだ。
EURIBORは銀行が短期金融市場で資金を借り入れることができる平均金利に固定されており、従って金利見通しの変化への反応にやや時間がかかることがあるのがスプレッド拡大の主な理由だ。一方、金利スワップの反応ははるかに素早い。
リーガー氏は「EURIBORのフィキシングは全く動かないことも多い。EURIBOR算出のため金利を提示する銀行は、未確認のECBの金利変更見通しを自らの提出金利に反映させることに鈍い」と指摘した。
コメルツ銀がスワップ取引の推奨を始めた際、スプレッドは6bpだった。10bpまで広がれば、取引額の4倍のリターンが得られる。
短期金融市場は6月にECBが金利を0.25ポイント引き下げる確率を90%としている。今月初めにはほぼ100%に達していたが、米国で力強い経済統計が発表され米当局の利下げ見通しが後退したことに伴い、やや低下した。
原題:ECB Rate Bets Are Creating an Arbitrage Trade in Money Markets(抜粋)
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James Hirai