ジュビロ磐田戦「なぜ浦和レッズは4連勝を逃したのか?」(1) レッズ大畑歩夢、チアゴ・サンタナらの決定機を阻んだジュビロ「熱い男」と「後半勝負」
明治安田J1リーグ第15節、ジュビロ磐田(以後、磐田と記す)対浦和レッズ(以後、浦和)の一戦がエコパスタジアムで行われた。中3日での連戦となった両チームの試合は、1-1の引き分けに終わった。浦和は、4連勝を逃した試合になったし、磐田は逆に、4連敗を食い止めたゲームになった。 ■【画像】J1リーグ第15節【ジュビロ磐田VS浦和レッズ】システム完全図解 浦和にとっては、1人のゴールキーパー(以後、GK)の活躍によって、勝ち点3を奪えなかった試合だったと言える。 浦和の前に立ちはだかったのはGKの川島永嗣である。特に、後半アディショナルタイムでのファインセーブは圧巻だった。 ペナルティエリア内にいた大畑歩夢がこぼれ球を右足でピッチに叩きつけてシュートを放つ。ボールは、磐田のディフェンダー(以後、DF)の股を抜けて高くバウンドしてゴールに向かっていく。低い姿勢をとっていた川島の前でボールが跳ね上がる。彼は瞬時に反応してボールを左手でクリアした。この試合に限らないが、何度も磐田の危機を救ったのは、川島の気迫あふれるプレーだった。 このコラムでは、試合全般を通して、ポイントとなった場面をフォーカスして試合分析を試みたい。 磐田のシステムは「4-2-3-1」で、前節のコンサドーレ札幌戦から川島と平川怜をスターティングメンバーに入れてきた。一方の浦和は「4-3-3」で前節の京都サンガF.C.と同じシステムとメンバーで試合に臨んだ。 余談だが、磐田のシステムの「4-2-3-1」は、ヴィッセル神戸の元監督のファン・マヌエル・リージョがスペイン2部のクルトゥラル・レオネサを1991-1992年シーズンに率いていたときに採用したのが最初だと言われている。リージョは、「ピッチの高いところでプレスをかけてボールを奪うこと」を意図したシステムだと語っている。
浦和の攻撃を阻んだ「元日本代表」のプレー
それでは試合を見ていこう。前半から試合は浦和ペースで進む。磐田は、前半をゼロ点で凌いで、後半勝負に出るゲームプランを選択した。ボールを浦和に握られていた時間は長かったが、磐田は全員で集中して守備をして、時には右サイドから攻撃を組み立てて応戦していた。 後半に入って浦和の攻撃を阻んだのは、やはり川島のプレーだった。55分に右ウインガーの前田直輝がポケット(ペナルティエリアの両方の盾のラインから内側に3メートル以内の場所)に侵入してパスを受ける。前田はターンして、ゴールエリア前の中央に入ってきたチアゴ・サンタナに左足で横パスを送る。 サンタナはフリーになってシュートを放つが、川島はニアサイドを狭めながら、なおかつ股を抜かれないように下に重心を置いて、大きく構えて前に出て、胸でボールを受け止める。 この場面では、磐田の右センターバック(以後、CB)のリカルド・グラッサの動きに問題がある。前田にターンさせたことがいけない。もう少し前田に寄せておけば、ターンさせることはなかった。そうすれば、前田はサンタナへの横パスではない選択肢を選ばざるを得ない。 DFにとっては、ボールをあげさせる状況とあげさせない状況が目の前あった場合、あげさせない状況を作ることが大切になってくる。それが決定的な場面を作らせないことにつながっていく。 続いて、68分の浦和の先制点、マリウス・ホイブラーテンの得点シーンを見てみよう。
川本梅花
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