軽トラはダイハツ! 軽バンはスズキ! EVも出てきて激戦必至の「働く軽自動」のランキングが面白い
軽商用車はOEMモデルで市場が形成されている
つまり、軽商用車というのは非常にOEMモデルが多いカテゴリーなのである。 ミニキャブ同様に日産クリッパーやマツダ・スクラムといったキャブオーバーバンもエブリイのOEMであり、スズキから供給されている。一方、サンバーやピクシスはハイゼットカーゴのOEMモデルだ。 軽トラックも同じく、スズキから供給を受けているのは日産、三菱、マツダとなっており、ダイハツはトヨタとスバルに供給している。 そこで前ページののランキングに示した販売台数をOEMモデルの合計として出してみたのが次の数値だ。 ●ハイゼットカーゴとOEMモデル合計:8万2825台 ●エブリイとOEMモデル合計:9万8131台 ●ハイゼットトラックとOEMモデル合計:7万2705台 ●キャリイとOEMモデル合計:7万2013台 キャブオーバーバン部門では、通称名ではダイハツのアトレー/ハイゼットカーゴがトップだったが、OEMモデルとしては異例の販売台数を誇るクリッパーのおかげで、合算になるとエブリイ系モデル群が上まわっている。つまり、実質的な軽バンのトップはスズキ生産のモデルなのだった。しかしながら、軽トラックについては僅差でダイハツ生産モデルが上まわっている。 もっとも、前述したように2023年度の第4四半期の大部分においてダイハツは出荷停止処分を受けていたので、どちらが人気なのかを判断することは難しい。 筆者が個人的に乗り比べた印象と、AT限定免許が増えているというユーザートレンドからすると、日本では馴染みのあるオートマチックトランスミッション「CVT」を先行して採用したダイハツの軽商用車に人気が集まっているのも納得といえる。 とはいえスズキ陣営においても、キャブオーバーバンのエブリイについてはATをCVT化、トラックのキャリイでは全車4速ATにするなど進化させている。 はたして2024年度の軽商用車のシェア争いはどうなっていくのだろうか。三菱ミニキャブEVやホンダN-VAN e:といった100%電気自動車の軽バンの動向も含めて、気になるところだ。
山本晋也