大谷翔平が相手なら「単打は一種の勝利だ」…投手の包囲網の中で歴史的な記録
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本塁打王に打点王でナ・リーグ2冠、打率もリーグ2位の3割1分と、圧倒的な成績を残したドジャースの大谷。ただ投手の左右別で見ると対右が打率3割2分2厘で42本塁打なのに対し、対左は2割8分8厘、12本塁打とやや分が悪い。 【写真特集】「54本塁打、59本塁打」レギュラーシーズン終了
中でも「大谷キラー」とも言えるのが、主に救援として通算246試合、今季も75試合に登板したダイヤモンドバックスの救援投手マンティプリーだ。
両チームはナ・リーグ西地区のライバル。優勝争いも佳境を迎えていた8月30日からの4連戦、33歳の左腕は3試合連続で登板した。いずれも六回、大谷の打席で登場。30日は内角を中心に攻めて低めのカーブで空振り三振、31日は内角ツーシームで二ゴロだった。
9月1日は一転、外角で勝負にいった。120キロ台のカーブを2球連続で空振りさせると、さらにボールになるカーブを2球。143キロツーシームも見送られたが、同じ速さのツーシームを今度はストライクゾーンぎりぎりに投じ、見逃し三振に仕留めた。
「どんな球でもスタンドに運ぶ能力があるので、チェスのように彼を当惑させ続けるようにしている。彼をスイングモードにしておき、リセットするチャンスをあまり多く与えないことだ」。さらに「ストライクゾーンの外の球をスイングさせるようにしている」と言うように、3連戦で投じた15球のうち8球がボール球で、徹底して低めに投げた。「ゾーンに入れなければいけないときは、ハードコンタクトを制限できる場所に投げ、グラウンド内にボールを留めるようにする。単打は一種の勝利だ」と力を込める。
シーズン中は何度も対戦するため、変化球を使う順番を変えるなど工夫を凝らす。「毎回、同じ表情を見せないようにする。変化の中に(抑える)秘訣(ひけつ)があるんだ」
一方、大リーグ1年目、パドレスの松井は「(野手の間を抜けるような)打球速度が出る打者なので、なるべくタイミングとバットの芯を外して、弱い打球でアウトを取れれば」と対大谷の狙いを明かす。5打数3安打と打ち込まれた教訓を今後に生かせるか。
今季9打数1安打と大谷を封じたマンティプリーは言う。「明日は全く違う結果になるかもしれない。次回、対戦するときはもっとうまくならないといけない」――。メジャー屈指の強打者・大谷は、抑えてもなお相手投手に恐怖心を与え、レベルアップを促す存在になっているようだ。