能登半島地震 メディアでは報道されない「石川県内灘町の被災状況」
道路が陥没して車庫から車を出すことができない
飯田)震度5弱とされていますが、ここには断層があって、断層によって持ち上がったり、陥没したりしている。それが1~2メートルぐらいの段差になってしまっているのです。そのために電信柱が完全に曲がったり、倒れたり、あるいは歪んでしまった家がいたるところにありました。 他にも住民の方にお話を伺うと、液状化現象で水道管が破裂したのではないかと思うぐらい、砂とともに水が噴き出してきたそうです。道路から家まで4段ぐらい階段があって、そこをのぼって家に入ったはずなのに、隆起してしまってさらに4段分上がっているのだと。また、道路に面して車庫があったのに、その車庫が(道路の下に)下がった状態になってしまい、車も出せないし、車も潰れてしまっているような状況でした。
被害は大きいが死亡者・安否不明者が出ていないため、報道されない
飯田)そういう状況ですから、インフラに関しても水道が使えず、プロパンガス中心ではあるのですが、ガスも使えない。傾いた電信柱から何とか電気はきていたけれど、それを直すとなると、一旦止めなくてはならない。そのため、集落全体がこのあと停電するので「もうここでは生活できない」とおっしゃる方もいました。そして、内灘町では亡くなった方や安否不明者もいなかったため、報道もされないけれど「大変なのだよ」と話していました。町は本当にメチャメチャになっているという感じです。
内灘町西荒屋の避難所でコロナ感染が拡大
飯田)石川県かほく市の“由美子”さんから、「内灘町の被害はほとんど知られていないのですよね。かほく市も隣町で同じ被害があります」とメールもいただいています。由美子さんがお住まいになっている、かほく市の少し北にある西荒屋という地区も取材しましたが、同じように被害が出ていました。海にも近く、もともと砂地だった場所なので、液状化も多かったのだと思います。西荒屋には避難所が開設されていますが、ここでは65歳以上の男女数人が新型コロナに感染したということです。衛生環境的にも、水道が止まっているとなると、どうしてもそうなってしまうと言われています。 ジャーナリスト・須田慎一郎)県や市町村だけでは対応しきれないでしょうから、国がどうやってバックアップするのか。能登半島だけでなく、それ以外の地域についても必要だと思います。 飯田)能登半島は物資も届きづらいところがあったのですが、さすがに内灘町は金沢に隣接しているため、物資は来ているそうです。被害も局所的だったので、行政の機能が停止するようなことはありませんでした。物資の仕分けや配布はできていた。ただ、被害はやはり大きいと思います。 須田)日常に戻るにはどのくらいかかるのか。 飯田)「何ヵ月かかるかわからない」と途方に暮れる方もいらっしゃいました。少しでも希望が見えるようなことをしなければいけないと思っております。