プロ野球CSファーストステージ、勝つのはどっちだ?
プロ野球のクライマックスシリーズが11日から開幕する。セ・リーグが昨年と同じ広島と阪神の対戦、一方のパ・リーグは昨年5位のオリックスと最下位の日本ハムが顔を合わせる。日本シリーズへの第一関門を突破するのはどちらのチームなのか、超短期決戦のポイントを紹介したい。
広島-阪神 阪神の有利は動かず
まずはセ・リーグの対戦から。8月末まで巨人を含めた3チームでの優勝争いを展開していた両チームだが、ともに巨人との直接対決で3連敗、勝負どころで力不足を露呈してしまった。その後両チーム決め手を欠きながらの2位争いは広島の最終戦までもつれ、6日の広島-巨人の結果次第となった。広島が引き分け以上ならマツダスタジアムで、広島が負ければ甲子園でシリーズが開催されるが、いずれにしても阪神の圧倒的有利は動かないだろう。その根拠は3つある。
1. 広島救援陣の崩壊と絶好調の呉昇桓 まずは最初のポイント。表1は9月以降の両チーム救援陣の成績である。もっとも登板数の多い中田が3敗し、防御率10.66の惨状なのを筆頭にすべての投手がイニング数を上回る被安打を記録、出ればピンチを招くような状態となっている。加えて守護神のミコライオが4日に登録抹消、暫定の抑えには中崎の名前が挙がっているが経験不足は否めない。右肩関節炎からの復帰を目指す一岡も代役候補だが実戦復帰もまだの状態で復帰できても不安はぬぐえない。大量リードする展開は望みにくいポストシーズンの試合で、終盤を任せられる投手が皆無という状況は大きなマイナス要素となるだろう。 一方の阪神は呉昇桓が絶好調、9月以降は13試合に登板、15回2/3を投げて被安打はわずかに3、失点も2、イニングをまたいでの登板も何度も成功させており獅子奮迅の活躍を見せている。さらに広島戦では14回を自責点0と完ぺきな内容を残している。抑え不在の広島との差は大きい。ただし、唯一の不安はセットアッパー。今シーズン8回を任されてきた福原が9月以降絶不調。広島戦も得意とはいえず9月26日、10月1日と2度にわたってピンチを招いて降板、呉昇桓の救援を仰いでいる。形にこだわる傾向がみられる和田監督と中西投手コーチが福原のセットアッパー起用にこだわるようであれば蟻の一穴となりかねないだろう。 2. 大事な試合を落とし続けた広島の失速 次のポイントは広島のチーム状態だ。表2は9月以降の広島の対戦チーム別成績である。9月以降12勝15敗と負け越しているのだがその内容は数字以上に悪い。得意のDeNA、ヤクルト戦に勝ち越すことでなんとか星を稼いでいるものの、優勝や2位を争った巨人、阪神戦は2勝9敗と大きく負け越しているのだ。9月以降阪神戦4勝1敗、巨人戦5勝2敗として初のクライマックスに臨んだ昨シーズンとの勢いの差は明らかで苦戦は免れないのではないだろうか。 3. 阪神3本柱の充実 最後に(3)のポイント。阪神の先発が予想される3投手は広島で好内容を残している(表3)。能見は主軸の丸に対して10打数0安打、菊池に9打数1安打で対戦被打率は.211、メッセンジャーも堂林を13打数1安打、エルドレッドを7打数1安打に抑えるなど被打率は.207、藤浪は対広島6勝の好相性だ。広島救援陣に大きな不安があるだけに、試合を確実に作れる3投手がいることは大きなアドバンテージとなる。