<葵わかな>BS時代劇「おいち不思議がたり」で感じた“普遍の価値観” 医療行為の違いに「ギャップはひたすら」
◇誰かの心を救えるのは、また誰かの心である
そんな葵さんは、本作を通じてどんなところに時代劇の魅力を感じたのだろうか。
「現代よりも決まりごとが多い世界で、役を演じる上での難しさはあったのですが、それを一つずつ忠実に守ることで、当時、生きていた人にしかない忠義や正義の持ち方がきっとあるんじゃないのかなと感じました。今は多様性の社会で、抜きん出た個性が評価されたりしますが、以前は身分制度とかがあって、一口には“横並び”とは言い切れないのですが、そういった“四角い世界”で生きるということが、すごく興味深いものにも思えましたし、だからこそ生まれる葛藤、ドラマがあるんだなって」
いち俳優としては、「自分自身、何かが見えたり、何かが見える役を演じた経験がなかったので、そういう“この世にないものが見える”表現ってすごく難しいなと思いました」とも話す、
「おいちが見てしまうもの、聞こえてしまうものの塩梅みたいなものは、この作品の魅力の一つでもあるので、監督ともすごく話し合いました。例えば声が聞こえてくる場所はどこなのか、それははっきりしているのかぼんやりしているのか、そういう細かいイメージのすり合わせを今回初めてしてみて、難しさも感じたのですが、すごく面白かったです」
一方で、「この作品は時代ものであり、また医療や不思議な力といろいろな要素が入っているのですが、結局 悩んでいたり何かを抱えていたりする人って、それだけを取って見てみれば、身分も立場も状況も関係ない」とも考える葵さん。
「その陰ってしまった心を救えるのも誰かの心であって、そこに身分も性別も年齢も関係なかったりする。誰かの心を救えるのは、また誰かの心であるというのは、今も昔も変わらず、ずっと普遍的に通じるすてきな価値観なんだなって。そういった心情の描写は慎重に丁寧に話し合いながら進めてきたので、映像にも映っていたらうれしいなと思っています」