長塚京三「ウルトラ妖艶なピカピカ女優を独り占め幸せ」黒沢あすか、瀧内公美、河合優実と共演
長塚京三(79)が4日、都内で開催中の東京国際映画祭コンペティション部門に出品された主演映画「敵」(吉田大八監督、25年1月17日公開)公式上映後舞台あいさつに登壇した。 1974年(昭49)のフランス映画「パリの中国人」でデビューして、今年で俳優人生50年で「余計なことかも知れませんが、僕が映画俳優になって50周年目です。呼んでいただいたことも、ご褒美だと考えます」と、控えめな口調ながら喜びを口にした。 「敵」は作家・筒井康隆氏(90)の小説を映画化し、脚本も手がけた吉田大八監督(60)がモノクロで描ききった。長塚は劇中で、妻に先立たれた77歳の元大学教授・渡辺儀助を演じた。映画への主演は、13年公開の「ひまわり~沖縄は忘れない あの日の空を~」以来12年ぶり。「何だか、お話自体が私を当て込んだみたいだったので、これも、ご縁かと思った。監督が脚本を携えて来ていただいて、即決でお答えしました」とオファーを受けた当時を振り返った。 長塚演じる儀助が淡い恋愛感情を抱く、清らかに清楚(せいそ)で妖艶な魅力をもつ大学の教え子・鷹司靖子を瀧内公美(35)が演じた。儀助の心中に幻想的に現れ、支配する妻・信子を黒沢あすか(52)、バーで出会い儀助を翻弄(ほんろう)する謎めいた大学生・菅井歩美を河合優実(23)が演じた。長塚は瀧内、河合とは初共演。撮影時は78歳だったが、妻を演じる黒沢との入浴シーンにも挑んだ。 長塚は質疑応答で、観客から「若い女性に心を動かされたシーンで、工夫したところは?」と質問を受けると、左手で頭をかいた。そして「僕は今年、79歳。3人の女優は、いづれあやめかかきつばた…妖艶な女優さん」と黒沢、瀧内、河合の3女優の美しさを、適切な慣用句で評した。 94年にサントリー「ウイスキーオールド」のCMに起用されたことを期に「理想の上司」のキャラクターを確立し、90年代にはOLの憧れの的となり、大人の色男の代名詞的存在となった。80代が目前だが体形、スタイリッシュな外見ともに陰りはない。それでも「主演は12年ぶり。映画は出ていなかったわけではないけれど、今をときめく女優さんと共演したことがなかった。ウルトラ妖艶な、ピカピカの女優さんを短い時間ですが、独り占めできて幸せでした」と口にして、満面の笑みを浮かべた。そして「誰にお礼を言ったら良いのかな? ありがとうございました」と言い、笑った。 吉田監督は「撮影中の長塚さんに影響を受けて、脚本を何カ所か書き直した。良い協同作業ができた」と長塚に感謝した。 【村上幸将】