「M-1エリート」時代の幕開け?新たな伝説に期待 20回目のM-1グランプリ 令和ロマン史上初の2連覇達成なるか?
芸人の高学歴化はいまに始まったことではない。だがこれまでは、やはりM-1決勝に進んだ経験を持つメイプル超合金・カズレーザーのように、クイズなどお笑い以外の分野でその頭脳は生かされてきた。 一方、令和ロマンら新しい世代の大学お笑いサークル出身者たちは、頭脳を漫才そのもののブラッシュアップに向ける。「M-1で勝てるネタ」を分析して実践するのである。M-1という特別な大会を勝ち抜くための緻密な戦略が練られ、スキルが磨かれる。M-1は「研究」されるものになった。
その意味では、M-1は受験に似てきたと言える。M-1ならではのルールや雰囲気に特化した作戦があることにいち早く気づき、準備に時間をかけたコンビが優位になる。 こうして、「受験エリート」がいるように「M-1エリート」が生まれつつあるのではないだろうか。もし今年、令和ロマンによる史上初の2連覇が達成されれば、「M-1エリート」の時代がいよいよ到来するのかもしれない。
太田 省一 :社会学者、文筆家