死亡した夫の年収は「1000万円」でも、妻に「遺族年金」は支給されない!? 高収入でも安心できないワケとは
子どもがいないケース
子どもがいないケースの遺族基礎年金と遺族厚生年金は次のとおりです。 ■遺族基礎年金は受け取れない 年金法上の子の条件を満たす子どもがいないため、遺族基礎年金は受け取れません。もし20歳の未婚の子どもがいても、条件に該当しないため遺族基礎年金の対象にはなりません。 ■遺族厚生年金は約82万円 遺族厚生年金については「子どもが1人いるケース」と同じです。「妻は、夫の20年間の働きに対する遺族厚生年金を、夫の死亡の翌月分から毎年およそ82万円受け取れる」計算でした。
遺族年金を受け取れない妻とは
原則として年収850万円以上の妻は、夫によって生計を維持されていたとは見なされないため遺族年金を受け取れません。また、年収850万円未満で遺族年金を受け取り始めても、再婚したり(内縁関係を含む)、直系血族・直系姻族以外の人の養子になったりした場合、遺族年金の受給権を失います。
遺族年金以外で確認しておきたいこと
万一に備え、遺族年金以外で確認しておきたいことを3つ紹介します。 (1)企業年金や退職金に関する夫の勤務先の社内規定を確認しておきましょう。本人が受け取るはずだった企業年金や退職金を、本人に代わり遺族が受け取れることがあります。 (2)傷病給付金、弔慰金に関する夫の勤務先の社内規定を確認しておきましょう。社員の死亡時、企業年金や退職金、労災給付とは別に、公傷病給付の弔慰金、私傷病給付の弔慰金、遺児育英資金などを給付する会社もあります。 (3)近い将来、もし夫が死亡した場合、遺族年金、夫の勤務先からの給付、夫婦の預貯金、今後の自分の勤労収入だけでは幼い子どもを育てていけないと考えるのであれば、生命保険(夫が死亡したときの遺族保障)を検討します。保険料が安く、保障の見直しがしやすい「グループ生命保険(団体定期保険)」が夫の勤務先にあるかどうか、最初に確認しましょう。
まとめ
簡単にまとめると、「遺族基礎年金は、子どもが18歳になるまで一律の額を受け取れる(年額100万円程度)」「遺族厚生年金は、再婚しなければ生涯受け取ることができ、額は夫の生涯賃金によって異なる(生涯賃金2億円の会社員なら年額80万円程度)」という理解で良いでしょう。この機会に、夫の勤務先の各種給付制度についても、ぜひ確認してください。 出典 日本年金機構 遺族年金ガイド令和6年度版 執筆者:福嶋淳裕 日本証券アナリスト協会認定アナリスト CMA、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所認定 1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
ファイナンシャルフィールド編集部