漢字、フルネームを廃止 三重・松阪市職員の名札「平仮名か片仮名、名字のみ」
理不尽なクレーム、個人情報保護 カスハラ防止で来月から
三重県松阪市は6月末で職員名札表記の「漢字・フルネーム」使用を廃止する。理不尽なクレームなどの「カスタマーハラスメント」の防止が目的。外国籍市民への分かりやすさも意識し、7月1日から全職員が「平仮名か片仮名、名字のみ」の表記になる。17日午前10時からの定例会見で表明した竹上真人市長によると現時点で具体的な被害を確認しているわけではないが予防的な視点から切り替えることにしたという。 SNSによる個人レベルでの情報発信も広まる中、市職員に関わる個人情報の保護やカスタマーハラスメントの防止を目的に導入を決めた。合わせて約16万人のうち約5千人を占める外国籍の市民に向けたサービスの向上も意識した。 対象となるのは約2千人の市の全ての正規職員、会計年度任用職員。松阪市民病院と松阪地区広域消防組合は対象外とする。職員名の表記は平仮名か片仮名の名字のみ。併記する所属は部、課のみ。職員によっては複数の役職を兼務しているが「部長」「課長」など主たる役職のみをシンプルに表記する方法に変えた。 自治体職員の名札の漢字・フルネーム表記の廃止は全国的に広がる。東海地方でも愛知県東海市や半田市、岐阜県関市などが名字のみ。松阪市職員課によると県内14市で平仮名か片仮名の名字のみ表記にするのは初。 竹上市長は「名札がフルネームだったことにより何らかの被害に遭ったという話は私の所には届いていない」としながらも「世間ではSNSに上げられたといった話は聞く。平仮名か片仮名の名字のみにすることでより安全になるということ」と説明。「外国籍の方には平仮名は覚えやすくサービスもしやすくなる」と効果に期待した。