米国債利回り曲線スティープ化、22年以来最大-FRB姿勢シフト意識
(ブルームバーグ): 19日の米債券市場では、長期債相場の下げで、イールドカーブは約2年半ぶりのきつい傾斜となった。連邦公開市場委員会(FOMC)によるタカ派的金融緩和と来年の利下げ予測後退が影響した。
米2年国債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して4.31%となる一方、10年債は約8bp上昇して一時4.59%と、5月終盤以来の高水準を記録した。2年債と10年債の利回り格差は一時約11bp拡大して27bpと、2022年6月に付けた水準に並んだ。
イールドカーブのスティープニングは、根強いインフレと底堅い経済を受けて投資家が長期の国債保有に消極的になっていることを反映している。FOMCは9月以降で政策金利を計1ポイント引き下げた。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者イアン・リンジェン氏は「長期債の軟調はタカ派的なFOMCと継続的な供給不安、そして思い切った価格行動に誰もが消極的なことが重なったためだ」と分析する。利回り曲線の傾斜拡大トレンドは「24年が終わるまで、まだ有意な余地が残っている」と述べた。
来月就任するトランプ次期大統領の提唱する税制が、成長とインフレの両方を加速させ、既に膨らんでいる財政赤字をさらに悪化させる恐れも債券投資家は留意している。
18日に米金融当局は2%の物価目標へのインフレ率引き下げに向けた進展が不十分なことを踏まえ、来年序盤に利下げサイクルを休止する可能性を示唆した。また会合後に公表された四半期経済予測の中央値で25年について0.25ポイントの利下げ見通しが2回しか示されなかった。これを受け、指標の10年債利回りは4.5%を上回った。
FOMC会合後に市場では、当局が来年のある時点で利上げ局面に入るとの見方を意識する動きもあった。担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動するオプション市場では18日の取引時間中に、25年末までにタカ派的な急転換が起こる可能性に賭ける大型取引が幾つか成立。19日に発表された未決済建玉では、新たなリスクに関する取引が行われていることが示唆された。