台風10号 28日午後~29日朝に北陸最接近か 南寄りの暴風に警戒
台風の進路の東側は特に風が強まりやすい
記録的な強風をもたらしたのは、台風が北陸地方のすぐ西側を強い勢力を維持したまま通過したことによります。台風の進路の東側は、台風自体の反時計回りの渦と、進行方向の風が重なります。そのため、台風の風に移動速度が加わるため、風が強まります。 今回の台風10号も暴風域を伴いながら北陸地方に接近し、北陸地方の多くの所では台風の東側のエリアに入る予想ですので、南寄りの暴風に警戒が必要です。また、北陸地方は2018年の台風21号が通過した時期と同様、ナシやリンゴなど果実の収穫期~収穫前となっています。さらにコシヒカリなどコメの収穫直前の所も多くなっています。暴風による果実の落果や稲の倒伏のおそれがありますので、早めの対策を行って下さい。
高潮の発生にも注意・警戒
高潮は、台風や発達した低気圧などが接近したときに、「吸い上げ効果」と「吹き寄せ効果」により、海面の水位(潮位)が上昇する現象をいいます。 台風などにより、気圧が大きく低下すると、1ヘクトパスカルあたり海面を1㎝吸い上げる力が働きます。これを「吸い上げ効果」といいます。 また、台風や低気圧に伴う強い風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられ、海岸付近の海面が上昇します。これを「吹き寄せ効果」といいます。 台風や発達した低気圧の接近、上陸に伴って短時間のうちに急激に潮位が上昇し、海水が海岸堤防等を超えると一気に浸水します。高波が加わるとさらに浸水の危険が増します。さらに、満潮時刻と台風の接近時刻が重なる場合は特に注意が必要です。 また、令和6年能登半島地震によって海岸堤防等の被害や地盤変動等の影響を受けている地域では、特に満潮時の潮位が高くなる時期を中心に、浸水や冠水が起こりやすくなっています。 北陸地方の満潮時刻は28日(水)は新潟で8時前後、富山以西で8時過ぎ、29日(木)は9時過ぎの所が多くなっています。
台風が近づく前の備え
今回の台風は暴風域を伴いながら北陸地方にかなり接近するため、暴風の対策が必要です。 風が強まる前に、窓や雨戸をテープなどで補強しましょう。飛散防止フィルムを張るのも良さそうです。 屋外やベランダなどで植木鉢やハンガーなど飛ばされやすいものは屋内にしまっておきましょう。暴風で思わぬ凶器となってしまう恐れがあります。庭木や自転車など倒れやすいものはしっかりと固定しておきましょう。 浸水対策としては、雨どいや側溝などの掃除をしましょう。ゴミや落ち葉・砂などがたまっていると、排水できずに浸水してしまう恐れがあります。また、浸水しそうな場所に土のうを積んでおきましょう。
日本気象協会 北陸支店 和田 玲央奈