<すでに始まっている「目に見えない」第三次世界大戦>緊密化する4カ国の枢軸関係、軍事ではない新しいツールの攻撃とは?
我々はおそらく第三次世界大戦の瀬戸際にいる。しかし、代理戦争が激化しているにもかかわらず、今のところはまだ大国同士が直接戦っているわけではない。 ロシアにとって重要なのは、中国による支援である。米専門家は、ロシアの軍需産業で使用されている半導体の約90%、工作機械の70%は中国からの輸入と推定している。今のところ、中国は殺傷力のある兵器を直接供給していないが、大量の二重用途物品を出荷している。 米国はかつてのような力を持ってはいない。国家防衛戦略委員会の報告書では、軍事生産に関しては中国が米国を凌駕しており、米国の防衛産業基盤は米国自身と同盟国のニーズを満たすことができないと明らかにした。 インド太平洋軍司令官パパロ米海軍大将は、「4カ国には、互いにニーズを満たすという、ある種の共生関係がある。その共生関係を壊すのは容易ではない。ロシアが中国に潜水艦技術を提供し、米国の海底を侵食する可能性がある。また、ロシアは北朝鮮にミサイル・潜水艦技術を提供し、北が米本土を脅かすことが可能となるかもしれない。米軍は戦略の見直しを余儀なくされている」と語る。 * * *
この10年で強化されている新たな攻撃
この論説の指摘は、的を射ているものと考えられる。特に、4カ国が米国主導の既存秩序の書き換えという目的を共有していることに加え、足らないところを補う「共生関係」にあり、その関係を壊すのは容易でないとの指摘はその通りであろう。それゆえ、4カ国の「強い共生関係」を念頭においた日米欧の戦略見直しが不可避と思われる。 他方、今のところ「全面戦争」ではなく「代理戦争」の段階であるとの論説の指摘は、「軍事力を使っての対決」という観点からはその通りかもしれないが、ロシア、中国、北朝鮮からのサイバー攻撃やランサムウェアのような新しいツールを使っての西側諸国に対する攻撃は、この10年、一段と増加しており、「目に見えない世界での全面的戦い」は、既に始まっていると言える。