大火災の遺族にありえないバッシング…韓国人の“中国嫌い”は危険水域に それでも依存し続けるジレンマが
「中国人遺族にこれ以上支援するな」
【前後編の後編/前編を読む】「国を汚すのか」子供に路上で“大”をさせる中国人に韓国社会のドン引き 若年層で“嫌中”の高まり 【写真】子供に路上で“大”をさせる母親 ネットを中心に若年層の“中国嫌い”を招いたとみられる 韓国人が抱く“中国嫌い”の傾向が、危険なレベルまで達していると思わせたのが、今年6月に京畿道(キョンギド)華城(ファソン)市で起きた、リチウム電池メーカー「アリセル」の工場火災事故だった。
原因は、工場内で保管していたリチウムバッテリーに火がつき、爆発が相次いで発生したことだった。出動した救急隊員も手の打ちようがなく、全焼するのを見つめるしかなかったという。 この事故では23人が亡くなったが、このうち韓国人は5人、17人が中国人だった(残る1名はラオス人)。韓国政府と華城市は、事故対応をとると同時に、中国人遺族のための迅速な入国および滞在への便宜を図った。弔問客が訪れるための追悼焼香所を設置し、葬儀期間中に利用できる宿舎も提供した。 ところが、マスコミは意外なほど冷淡だった。彼らは、事故そのものより、犠牲者の滞在資格や保険金に注目。亡くなった中国人には不法就労者の可能性があるとし、その場合の労災保険はどうなるのか、といった点を中心に話題にしたのだ。 韓国世論も冷ややかだった。中国人犠牲者に同情するどころか、「不法滞在者に保険金や補償金を支給するな」というコメントがネット上では多く寄せられ、「政府と華城市は、中国人遺族に対してこれ以上支援はしてはならない」という声まであがった。
「弔問者が少ない」との報道も
こんな空気では、追悼の気持ちも冷めていく。「京畿新聞」は7月8日、焼香所の弔問者は他の事故に比べて顕著に少ないと指摘し、死亡者の大半が外国人であるためだと報じた。華城市も、中国人遺族に対する寝食等の提供を、7月末に中断すると発表した。 遺族らは反発したが、それでも「いい加減にしろ」「逆に中国でこのような事故が発生したら、政府が韓国人遺族を招待して積極的に助けるのか」といった意見がネットには相次いだ。犠牲者への同情どころか、中国に対する悪意を持った世論が、自然に形成されていた格好だ。それほどまでに、中国への嫌悪は根強かったのだろうか。こうした感情は簡単には改善しないと思われる。