米国がNATO脱退?…トランプ次期大統領の判断次第
トランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)を脱退しようとした場合、阻止できるだろうか。議会の承認なしでNATOを脱退できないよう法律まで作ったが、ドナルド・トランプ次期大統領が決意した場合、阻止するのは難しいと専門家らはみている。トランプ氏は2018年7月のNATO首脳会議の際、脱退を持ち出して脅すなど、NATOに懐疑的だ。 昨年、ティム・ケイン上院議員(民主党・バージニア)とマルコ・ルビオ上院議員(共和党・フロリダ)は、大統領の指示でNATOから脱退するには上院の3分の2の承認を得なければならないとする内容の法案を発議して成立させた。しかし、米政治誌「ポリティコ」は8日(現地時間)、「専門家らは、この法案だけではトランプの『決断』を阻止するのは難しいとみている」と報じた。 大統領が法を犯した場合、対抗手段は訴訟だけだ。問題は、議会が訴訟を起こすかどうか自体が不明だという点だ。シカゴ大学ロースクールのカーティス・ブラッドリー教授はポリティコに「訴訟を起こせる資格は議会にしかないが、上院を掌握した共和党がそのような訴訟を支持するかは確実ではない」と述べた。 行政府と立法府の間の制度的対立は、司法府の介入よりも政治的過程を通じて解決するのが望ましいとする立場を示してきた最高裁が、訴訟を扱うかどうかも不確かだ。たとえ最高裁が事件を扱ったとしても、どちらが勝つかについては、憲法上の争点が明確に整理されたわけでもないという。大統領の外交権限をめぐり、議会が訴訟合戦を繰り広げたことは前例がない。 かつてトランプ次期大統領は1期目の際、一方的に航空自由化(オープンスカイズ)条約から脱退したことがある。当時の国防権限法も「脱退の120日前に議会に通知せよ」と規定していた。しかし、トランプ政権は「条約脱退については、大統領が議会の制約なしに裁量権を行使できる」として、一方的に脱退を宣言した。 公式の脱退ではなくても、大統領がその気になればNATOを弱体化させることはいくらでも可能だ。民主党議員らは、トランプ氏がNATOに大使を送らなかったり、米軍の軍事訓練の参加を妨げるのではないかと懸念している。カミーユ・グランデ元NATO事務総長補はポリティコに「事実上脱退の意思を表明した日から、ただちに効力が発生することになる。これ以上同盟に献身しないという意味だからだ」と述べた。 キム・ウォンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )