『渡辺志桜里 宿/Syuku』展、資生堂ギャラリーで 代表作《Sans room》や新作能の映像インスタレーションを展示
2024年11月6日(水)より、資生堂ギャラリーでは、『渡辺志桜里 宿/Syuku』展が開催される。 【画像】《RED》ほか 1984年、東京に生まれた渡辺志桜里は、中央大学でフランス文学を学んだ後に、東京藝術大学の学部と大学院で彫刻を専攻。現在は、外来種や絶滅種といった人間と自然との間に生じるコンフリクト(衝突、対立、緊張状態)を想起させるモティーフに焦点を当て、人間同士にはらむ課題を暗示する作品を手掛けている。 同展では、まず、渡辺志桜里の代表作である《Sans room》を紹介する。水槽やプランターなどをホースでつなぎ、水やバクテリアを循環させて自立した生態系を構築する同作は、これまで数々の会場で展示されてきたが、今回は資生堂ギャラリーの空間をダイナミックに使い、過去最大規模で展開する。 さらに、能の演目『翁』にインスピレーションを得て制作した新作能の映像インスタレーションなども紹介する。極めて古い様式を持ち、能の演目のなかでも別格とされる『翁』は、人間に神が「宿」り、祈りを捧げ、再び人間に戻るという、人間、神、自然の循環的な関係や、日本列島に眠るマージナルな自然観が描かれている。 渡辺によると、とくに新型コロナウィルスの流行以来、人間の身体を「宿」主としてウィルスが生存している意識や、国家やコミュニティを越えて他種や他者と共生していく感覚が高まっているのではないか、という。 そんな気づきから、長い年月をかけて日本の生態系を築いていき自然と人間の関係を、「宿」という観点から光を当ててそこにはらむ諸問題を浮き上がらせ、今後、私たちがどう生きていくのか、その手がかりを探っていく。 会期中は、「動き」による不定期のパフォーマンスや、新作能の制作に携わった情報学研究者ドミニク・チェンと渡辺志桜里とのトークイベントも開催する。イベント情報は随時追加されるので、詳細はギャラリーホームページで確認を。 <開催概要> 『渡辺志桜里 宿/Syuku』 会期:2024年11月6日(水)~12月26日(木) 会場: 資生堂ギャラリー