トランプ氏が「推奨」に方針転換、郵便・期日前投票7000万人超…共和党支持層の利用増
【ワシントン=淵上隆悠、ミルウォーキー(米ウィスコンシンン州)=今井隆】米大統領選で、郵便・期日前投票を利用した全米の有権者数が米東部時間1日夜時点で7000万人を超え、過去2番目に多かった2016年選挙をすでに上回った。「不正の温床」と主張してきた共和党候補のトランプ前大統領も推奨に転じたことで、共和党支持層の利用が増えている。
激戦州の一つジョージア州は1日、期日前投票期間の最終日を迎えた。州の集計によると、期間中に1票を投じた有権者は400万人を超えた。20年大統領選で投票した人は約500万人だったことから、選挙事務に携わる州高官は10月30日の記者会見で「(5日の)投開票日は町がゴーストタウンになるかもしれない」とジョークを飛ばした。
郵便・期日前投票の利用は、ほかの州でも広がっている。投票状況を集計しているフロリダ大選挙ラボによると、全米の利用者は新型コロナ禍で実施された20年選挙の約1億人には届いていないが、16年選挙の約4700万人を大きく上回った。20年選挙を機に認知度が高まったことなどが影響しているとみられる。
注目されているのは、制度を利用する共和党支持者が増えたことだ。今回、有権者登録に基づく党派別集計が可能な26州のデータによると、1日までに投票した計約3476万人のうち、民主党支持者は38・2%、共和党支持者は36・1%、支持政党を申告していないなどの「その他」は25・6%だった。前回は、20州のデータで、民主党支持者が44・8%、共和党支持者は30・5%と大差があった。
背景には、共和党の戦略変更がある。トランプ氏は民主党のバイデン大統領に敗れた20年選挙で、民主党支持者の利用が比較的多い郵便投票は身元確認が不十分だと訴え、不正が起きる可能性を繰り返し指摘した。開票作業では、集計に時間がかかる郵便投票の開票が進むにつれてバイデン氏が票を積み上げたため、結果の認定を阻止しようと訴訟を起こして徹底抗戦した。