日本のガバナンス改革、次は繊維やテレビ業界へ-アムンディの運用者
(ブルームバーグ): 欧州最大の資産運用会社アムンディ・グループのアムンディ・ジャパンは、日本のコーポレートガバナンス(企業統治)改革に関連し、繊維やテレビ業界の変化に投資機会を見いだしている。東京証券取引所が株価純資産倍率(PBR)向上を促してから1年が経過し、改革の波が幅広い業種に及んできたとの見方だ。
アムンディのジャパン・ターゲット戦略ヘッドの春川直史氏はブルームバーグとのインタビューで、以前は投資を敬遠する業界もあったが「ガバナンスに関して何を言ってもだめだと思っていた業界ですら変わってきている」と語った。
同氏は2005年に入社しPBRやガバナンスに着目した投資を継続している。取締役構成や資産の有効活用といったガバナンス面の改善を特に見込めるのが繊維やテレビ業界だとし、低PBR解消が期待できる銘柄を発掘している。
東証のPBR改革要請を背景にアクティビスト投資家の要求が強まっているほか、国内機関投資家による議決権行使基準にPBRや自己資本利益率(ROE)が盛り込まれるなど、上場企業のガバナンスへの目線は厳しくなっている。これに伴い、東証株価指数(TOPIX)のPBRが過去1年間で1.2倍台から1.5倍近くへと切り上がるなど、企業側にも変化の動きが広がってきた。
春川氏は、東証の要請などに加え時価総額が日本最大のトヨタ自動車が政策保有株の削減を掲げていることも、上場企業に対する変革への圧力を強めたと指摘。「23年は日本の株式市場にとってエポックメーキングな年だ」と述べた。
変化する2業界で同氏が既に投資しているのが、繊維製品メーカーのグンゼだ。肌着などアパレル事業から始まったが、主力事業が半導体材料や医療向け材料へと移り変わっているとし、祖業にこだわらない姿勢を評価。不採算事業から撤退したり、政策保有株や不動産の売却を進めたりしており、「投資家の意見を聞いて有言実行で動いているところも評価できる」とした。