住信SBIネット銀行、顧客対応の社内確認工数を半減 kintone活用の第一歩として
サイボウズは、住信SBIネット銀行の「kintone」活用事例を公開した。同行は、カスタマーセンターから他部署へのエスカレーション業務にkintoneを活用している。 【もっと写真を見る】
サイボウズは、2024年10月23日、住信SBIネット銀行の「kintone」活用事例を公開した。住信SBIネット銀行は、カスタマーセンターから他部署へのエスカレーション業務にkintoneを活用している。 同行のカスタマーセンターでは、オペレーターが顧客からの問合せ内容を所管部に確認するエスカレーション業務にて、“表計算ソフトとメール”を利用していた。しかし、ビジネスの規模が拡大するにつれ、大量のデータに対するファイル破損対策や、大人数でのファイル共有に伴うオペレーションリスク防止策など、考慮すべき課題が増えていったという。 これらの課題解決のため、kintoneを情報共有基盤として採用。決め手となったのは、kintoneが「ISO認証」や「FISC安全対策基準」など、金融機関に求められるセキュリティ要件を満たしており、監査ログを残せること。そして、スモールスタートで初期投資が抑えられる一方で、拡張性に優れて外部連携がしやすい点だったという。 同行では、表計算ソフトとメールでの作業から、業務フローをkintoneに集約する形で再構築。複数人月の工数を要していたエスカレーション業務の工数は半減して、データの信頼性・堅牢性も高めている。 現在は、エスカレーション先の部署でもkintoneを利用しており、同行内でのkintone活用は広がっているという。当初20ユーザーで契約したkintoneアカウントは、導入から2年経った現在では、550ユーザーにまで増強され、実験的に開発したものも含め、200個を超えるkintoneアプリが作成されている。 また、住信SBIネット銀行は、kintoneと生成AIと活用した新たな試みにも取り組んでいる。 顧客との電話で自動応答する“対話型AIのシナリオ作成”に活用するというもので、kintone内で生成AIを利用できるkintoneのプラグイン「Smart at AI for kintone Powered by GPT」(M-SOLUTIONS提供)を利用している。 kintoneと同プラグインの組み合わせは、APIコールの連続実行によって繰り返し処理を行えることから、シナリオ作成の時間と手間を大幅に削減できる。加えてAIの活用によって、シナリオ作成で起こり得るバイアスや偏りを防ぐことも見込んでいるという。現在、対話型AIの受け入れテスト(UAT)のシナリオ作成に活用されている。 今後は、各種システムと利用者をつなぐ、フロントエンドUIとしてもkintoneを活用していく予定だ。また、AWS上に展開している基幹システムとのAPI連携も進め、セキュリティ要件を満たしながらクラウド内で業務が完結できるような環境を目指していく。 文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp