中山秀征(56歳)“生ぬるい”と評されて30年「何も考えず遊んでいるだけに見えるなら、ある意味本望」
稀代のコラムニストで、鋭いテレビ批評が人気だった故・ナンシー関氏に「なまぬるいバラエティ番組全盛の状況が産んだスター」と評された中山秀征さん(56)。彼女は何度も「私は中山秀征が嫌いである」といい、その理由としてこう分析している。 <テレビを見ている私には全く関係のない「(芸能界内の)しがらみ・関係性・その他諸事情」のみでスムーズに回っているブラウン管の中の和気あいあい。中山秀征はこれらの象徴的存在だと私はとらえている。>(ナンシー関/『聞いて極楽』朝日新聞社、1995) ⇒【写真】アザーカット <バラエティ番組の生ぬるさと、中山秀征の生ぬるさは寸分違わず合致している>(ナンシー関/『テレビ消灯時間』文藝春秋、1997) その後30年、“和気あいあい”番組は増殖の一途をたどり、中山の「生ぬる」力は引っ張りだこ。時代に乗ったのは偶然なのか必然なのか――自著『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』(新潮社)を発売した“ヒデちゃん”に立ち位置で意識していることを聞くと、 “生ぬるく”見える裏には緻密な戦略があった。
30年前、“生ぬるい”と評された
――ナンシー関さんから、「生ぬるい」バラエティの象徴的存在だと評されました。「生ぬるい」とはどういうことだと思いますか? 中山秀征(以下、中山):90年代、“生ぬるくない”のがダウンタウンで、“生ぬるい”のは僕が代表。ダウンタウンは番組を「作って」いる。一方で中山は、テレビの中で「遊んで」いるだけだと。 象徴的な番組が『DAISUKI!』(日本テレビ系、1991年~2000年)です。飯島直子ちゃんと松本明子さんとで、いろんなところに出かけたり、何かを体験したりする様子を映す番組で、深夜ながら視聴率15%を取るほど(の人気)だったんだけど、それまで大人たちのテレビ番組の常識といえば「作り込まれた」もの。“遊んでいるだけ”でテレビ番組を作るなんていうのは、ありえない考え方だったんです。 本当は「遊んで」いるだけで番組は出来上がらないんだよ。寝ないで会議をして、企画を考えて、1時間の番組に6、7時間撮影していて。……でも、「何も考えずに遊んでいるだけ」に見えるなら、それはある意味本望でもあって。 遊んでいるだけ、街歩きをしているだけ…… “だけ”を見せるテレビ番組というのは、彼女からすれば「生ぬるい」ということだったんでしょうね。