新型レンジローバーイヴォークは日本にピッタリな都市型SUVだ! “パッと見”ではわからない中身の進化とは
大幅にアップデートされた新しい「レンジローバーイヴォーク」の魅力はいかに? 大谷達也がリポートする。 【写真を見る】新型レンジローバーイヴォークの内外装など(16枚)シンプルな新しいインテリアが大胆すぎる!
繊細ですっきりとしたデザイン
レンジローバーがいま目指している世界観は“モダンラグジュアリー”。 これは、ランドローバーの元チーフデザイナーで、現在はジャガーランドローバーグループのチーフクリエイティブオフィサーを務めるジェリー マクガヴァンが提唱しているもので、文字どおり“現代的なラグジュアリー”と、解釈できる。 その典型は最新のレンジローバーにあるといっていい。シンプルなのに、実に個性的。そして質感が高いうえに、現代的というか、未来的といってもいい価値観を表現している。このモダンラグジュアリーというキーワードは、レンジローバーだけでなくランドローバーの各ブランド、さらにいえば今後EV専業ブランドに転身するジャガーについても適用される。 2024年モデルに生まれ変わったレンジローバーイヴォークもまた、モダンラグジュアリーを強く意識したデザインに仕上げられている。 ヘッドライトやフロントグリルは繊細なタッチでクオリティ感や現代性を表現。さらに印象的なのがインテリアで、先に2024年モデルがデビューしたレンジローバーヴェラール同様、センターコンソールは一切の装飾を廃してシフトセレクターだけが屹立したデザインとされた。 パワートレインは、出力が異なる2種類の2.0リッターガソリンエンジンのほか、2.0リッターディーゼル+マイルドハイブリッド、1.5リッターガソリン+プラグインハイブリッドの4タイプが用意されているが、今回はディーゼルエンジン搭載の「ダイナミック SE D200」というグレードに試乗した。
パワートレインや乗り味まで大きく洗練された
スターターボタンを押してエンジンをかけたときに気づくのは、ディーゼルとは思えないスムーズなエンジン始動。マイルドハイブリッドシステムはスターターモーターよりも格段にパワフルなモーターでエンジンをかけるため、始動時にエンジンが身震いすることはほとんどない。これだけで、ディーゼルモデルに乗っていることを忘れさせてくれるくらいの効果がある。 走り始めてからもハイブリッドシステムが要所要所でサポートしてくれているためか、ディーゼル特有の“かったるさ”は皆無。むしろ、ディーゼルエンジンらしい中低速トルクに、ハイブリッドシステムが生み出すレスポンスのよさがくわわって、街中でも驚くほど活発に走れる。これはレンジローバーに限ったことではないけれど、ディーゼルエンジンとマイルドハイブリッドを組み合わせたパワートレインは、よく洗練されていて極めて完成度が高いと感じる場面が多い。 新型レンジローバーイヴォークの場合、足まわりの洗練度も明確に進化している。これまで以上にサスペンションの動き出しがスムーズで、ゴツゴツとした印象を与えないだけでなく、路面のうねりなどでサスペンションが大きくストロークしたときでも滑らかさが失われず、どんな状況でも優れた快適性が保たれるのだ。 2代目レンジローバーイヴォークがデビューした当時は、足まわりがかすかに突っ張っているかのような印象を抱いたが、新型でそれが完全に解消されているのは驚き以外のなにものでもない。それも、サスペンションストロークが小さい領域だけでなく、もっと大きなストローク領域でも一貫した乗り味を作り出しているのがすごい。これは、マイナーチェンジで足まわりの味付けを部分的に変えようとした際、全体的なバランスまで崩れてしまうことが少なくない他メーカーのケースを考えると、実に驚くべきことだといえる。 しかも、イヴォークはレンジローバーファミリーのなかでもっともコンパクトで、都市部の入り組んだ路地を走らせるのにも便利。デザインだけでなく、パワートレインや乗り味まで大きく洗練された新型レンジローバーイヴォークは、モダンラグジュアリーの世界観を手頃に楽しめる都市型SUVといっていいだろう。
文・大谷達也 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)