スタートアップ企業の”出現率” 最も高いのは福岡県・北九州市 30代起業家が口をそろえる「破格の補助金」と「エンジニアにとって良い土壌」
今、北九州市で、様々なスタートアップ企業がうまれている。 帝国データバンクによると、設立5年未満のスタートアップ企業の割合を示す「出現率」は、北九州市の小倉北区と小倉南区がともに11%で全国1位だった。 さらに、八幡西区が8.9%と4位にランクインしている。(2023年12月末時点) 帝国データバンク・情報統括部 旭海太郎 副主任 「北九州市の1つの区が入っているだけであれば偶然だったのかなと思えるんですが、小倉北区と小倉南区がそれぞれランクインして、また八幡西区も上位に入っている。そうした意味では北九州市が全体として高まっていると言えるだろうなとみています」 ■最大2000万円 破格の補助金 前出の「トライオーブ」は当初、福岡市に拠点を置く案も検討したが、最終的に北九州市を選んだ。 北九州市は、かつて製造業で栄えた「ものづくりの街」。この地域には、高度な技術を持つ人が多く存在しており、彼らを巻き込むことで、技術継承や高品質な製品づくりが可能だと考えたという。 それに加えて、石田さんはもうひとつ理由をあげた。行政による手厚い支援だ。 トライオーブ 代表取締役CEO 石田秀一さん 「起業するには、一般に考えられている金額よりも、1桁ないし2桁くらい大きいお金がかかります。そうした中で、北九州市は補助金の金額が、ほかの自治体に比べて手厚かった。さらに市の担当者が実際にお客様のところまで同行してくれる。『うちの市のスタートアップにこういうところがあるんですけど、おたくで使えませんか』とか」 北九州市は、市を拠点に事業成長を目指すスタートアップ企業に対して、最大で2,000万円の補助金を交付している。 帝国データバンクの旭さんによると、スタートアップ企業に対し自治体が交付する補助金は、一般的に「高くても1000万円」が相場だという。北九州市の2000万円がいかに破格であるかが分かる。 ■ 大企業とのマッチング 手厚い”伴走支援” 北九州市による企業への支援策の中で、帝国データバンクの旭さんが特に注目するのが、地元の大企業とのビジネスマッチングを支えるサポートシステムの存在。新興起業にとって、行政の「信用」は何よりありがたい。