東京都知事選、蓮舫が狙う国政・都政の「同時リセット」vs.じわり始まる「小池劇場」…歴史的選挙戦の行方は?
■ 国民は政策評価の機会を奪われてきた 思えば、岸田政権の成立以来、世界は大きく変わってきている。2021年10月の岸田政権の成立は、コロナ禍の出来事であった。前任の菅義偉氏が道筋をつけたとはいえ、コロナの終息は当時まだ見通せないものであり、「三密」を回避する中で人々の日常生活は制限され、分断されていた。 そうした中で、岸田派はもとより、麻生派や茂木派といった、主要派閥の連合の上に成り立った岸田政権は、成立以降、最短の日程で衆院解散総選挙に臨み、「新しい首相の誕生による期待」しかないという異常な状態の中で勝利した。 そして、岸田氏の二度目の全国規模の国政選挙は、2022年の参院選であり、安倍晋三元首相の銃撃という自民党への同情、哀悼の意の中で行われた。 つまり、岸田首相は自らの政策成果について、国民の審判を得た全国的な国政選挙は存在しないことになる。そうした意味では、正面から岸田首相は自らの政策評価を国民に問うたことはないといっても過言ではない。 こう考えてくると、安倍政権下だった2017年、「希望の党」騒動の中で行われた衆院選以来、国民は政権の政策的な成果に、必ずしも向き合うことなく時間を過ごしてきたことになる。 実に日本の政策のかじ取りは、その2017年当時の安倍氏から、全国規模の国政選挙を行わなかった菅氏を経て、そして現在の岸田氏と、2代も変わってきているにもかかわらず、国民はその政策評価について声を上げる機会を奪われてきてしまっているということもできるのではないだろうか。
■ なぜか“無傷”の岸田政権、満を持しての蓮舫氏出馬 野党第一党の分裂に伴う希望の党騒動、そして安倍政権以降の日本維新の会の台頭の中、岸田政権下では二つのスキャンダルが起こった。第一に「旧統一教会」の問題であり、第二に「政治とカネ」の問題である。 この二つの問題は、岸田政権を揺さぶり、そしてその支持率を低下させていった。それにはもちろん、岸田首相がそれらのスキャンダルに国民が納得するような対処ができなかった、という問題があるといえる。 また、自民党の問題であるにもかかわらずに、その総裁である岸田首相は何ら責任を負うことなく無傷のままに、総理総裁であり続けた。 そうした国民の岸田首相や、岸田政権に対する怒りのマグマが、幾年にもわたり積もってきているのが現在の日本政治の状況であった。所得税減税にまつわる定額減税くらいで、国民の怒りが減少することはなかった。 そうした国政の状況を見て、満を持して、蓮舫氏の立候補はあったものと理解することができる。政権与党に対し、ひさびさに真正面から審判を下す機会が提示されたという意味で、今回の都知事選は「歴史的」ととらえることができるのではないだろうか。