東京都知事選、蓮舫が狙う国政・都政の「同時リセット」vs.じわり始まる「小池劇場」…歴史的選挙戦の行方は?
■ 狙う「国政と都政の同時リセット」 蓮舫氏が、この出馬会見の時に語った短期的、かつ具体的な理由は「4月の三つの衆院補選」、そして出馬表明直前の5月26日に投開票の行われた「静岡県知事選」、そして「目黒区選挙区の都議の補選」の影響であった。 これらの選挙において、すべて立憲民主党の公認、ないし立憲民主党の推薦候補が当選を重ねてきた。現在の風が立憲民主党への追い風であるために、東京都知事選挙でも勝利できる、という目算があったようである。 また、これまで選挙において圧倒的な強さを誇ってきた小池百合子都知事の、このところの選挙のパフォーマンスが振るわないということもあるだろう。例えば「4月の三つの衆院補選」の一環であった東京15区補選において、小池氏の都民ファーストの会が推した乙武洋匡候補が惨敗した。このことにみられるように、足元で小池氏の求心力の低下がささやかれていることも影響しただろう。 しかしながら、単に「選挙に勝てそうだから都知事選に立候補する」ということだけではない、といえる。蓮舫氏の決断の背景を読み解くことが、この都知事選を解明するカギを与えるといってもよい。 つまり、そこには、現在まで続く「一連の政治不信の波」があると考えられる。多くの大スキャンダルを引き起こしながら、政治的責任を取ろうとしない岸田政権に対する国民の怒りを代弁するという意図があったことは明白である。 蓮舫氏は会見で「裏金」事件をとりあげ、「『政治とカネ』の自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする。その先頭に立つのが私の使命」ということを表明した。 さらにその会見で「反自民」、「非小池」を標榜することを述べている。つまり、国政の問題である「政治とカネ」の問題を、「国家の首都」である東京の都知事選で争点化し、小池知事に支持率低迷にあえぐ自民党のイメージを重ねることで、国政における「自民党政治」と都政における「小池都政」を一緒に「リセット」するという。 都知事選の出馬会見であるが、そこにおける中心は、現在の国政与党の自民党への批判であるといってよい。