全国高校サッカー選手権のウラで「高卒と大卒、どちらでプロを目指すか問題」危惧と利点「18歳で即戦力は至難の業。進学はロジカルだが…」
全国高校サッカー選手権が開幕した。華やかなスポットライトを浴びるヒーローが生まれる一方で、卒業後のサッカー人生と“ネクストキャリア”をどう考えていくべきか。元プロ選手と、アスリートのキャリアを追うライターの2人が契約・収入事情など幅広くリサーチした著書『サッカーで、生きていけるか。プロへの道筋と現実、ネクストキャリアの考え方』(英治出版)から一部転載でご紹介します。 【貴重写真】「高校生なのに金髪ピアス…」天才MFとは誰?ヤンチャそうな髪型の乾に本田、長谷部に大迫18歳、イガグリ頭の大久保に岡崎、素朴な中田英寿らの高校時代レア写真を見る(60枚超)
「高卒」か「大卒」か、どちらでプロを目指すべきか?
プロサッカー選手を目指すパスウェイ(※競技者として歩む道筋、進路の選択肢)は多様化していますが、年代軸で考えると、「高卒/大卒のどちらでプロサッカー選手になるべきか?」というのは大きな論点なので取り上げたいと思います。これはサッカー関係者の中でも大きく意見が分かれるトピックです。 私(阿部博一、V・ファーレン長崎の元プロ選手)の場合、「いつでも行ける大学に進学するよりも、できるだけ早くプロサッカー選手になりたい」と考えていました。高卒/大卒いずれかでプロサッカー選手を目指す場合、どのようなポイントを考慮すべきなのでしょうか。 データをもとに考えてみましょう。 2009年以降は、高卒と大卒選手が同数程度プロサッカー選手になっています。2023年は、計142人のうち、高卒68人(48%)、大卒74人(52%)です。2000年台前半は高卒選手が60~70%を占めていたことを考えると、大卒選手の増加は顕著なトレンドです。 これは既に述べたとおり、J2~3レベルの戦力・組織体制を有する大学があり、かつ、大卒が学位を取得できキャリアの幅を広げてくれるオプションだからです。
出場数ゼロも? 高卒プロが直面する「18歳問題」
サッカー強豪大学には、明治、筑波、早稲田など、学問でも名が知れた大学が数多く含まれます。高校までのサッカー戦績が入学に優位に働き、学業としても名門の大学に進学することができ、その上サッカーレベルもJ2~3相当と考えれば、大学進学という選択は正直とてもロジカルに思えます。 これを反映するかのように、カタールW杯(2022)の日本代表では、選出された26名中9名が大卒選手となっており、日本が初出場したフランスW杯(1998)の11名に次ぐ多さです。 また、高卒でギリギリの実力でプロになった場合、入団直後の18歳以降に出場機会がなくなり伸び悩むという「18歳問題」があり、これも大学進学によって回避することができます。
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